unti-pirot

＊ ページ33

渡辺「で、結局「裏切り者」って何なんだろうね」
全員が出払った後のバーで後片付けをする2人は、そんな会話を交わす。
宮舘「さぁね。俺たちの誰かじゃなさそうだからいいんじゃない、誰でも」
渡辺「まあそれもそうか」

男9人で5時間続いた酒盛りの後片付けは大変だ。
渡辺「本当、何をどうしたらこんな汚く出来るんだか」
宮舘「主に康二でしょ」
渡辺「他に誰がいる？」
宮舘「いないね」

渡辺「…ねぇ涼太」
宮舘「何？」
渡辺「ここに来た時の事覚えてる？」
いきなりどうした、そう言おうとして渡辺の顔が真面目な事に気付き言葉を紡ぐ。
宮舘「勿論」
渡辺「何かさ、この前あの時の元凶のあいつに似た人物を見かけたんだよね」

その言葉に、思わず渡辺の方を見た。
宮舘「どういう事」
渡辺「流石に気の所為だと思うけどさ」
宮舘「気の所為でしょ、だってあいつは、」
俺たちで殺したでしょう？そう言葉を連ねると、渡辺も確かにそうなんだよ、と頷く。

渡辺「でもさ」
片割れは打ち消しの接続詞を語頭に着け、モップの柄を強く握り締める。
渡辺「俺があいつの顔を見間違えると思う？」
忘れもしない、自分たちが正真正銘の双子になった日の、その元凶のあいつの顔を渡辺が忘れる訳がない。それは確かにそうだ。
自分だって、忘れたくても忘れられないのだ。

宮舘「どこで見かけたの」
渡辺「20番街」
宮舘「風俗街か…でもあの時確かに俺たちはあいつに復讐を果たしたはず」
渡辺「うん、ちゃんと脈がないのも確認したし…」
宮舘「…まさかとは思うけどさ」
渡辺「正気で言ってる？」
流石双子の片割れだ、自分が何を言おうとしているのか分かったらしい。

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