あなたに ページ4
一年前。
葵ひなたと、とても仲のいい女子がいた。
目立つような子ではなかったけれど、ひなたにとって、その少女は太陽だった。
穏やかで、頼まれると断れない、そんな普通の女の子。
ひなたがその子と距離を縮めたのは、中学二年の六月。
席替えで隣になり、
時々教科書を忘れるひなたに優しく笑いかけるその姿に、
いつの間にか恋に落ちていた。
毎日理由を作って彼女に話しかけた。
たくさんワガママを聞いてもらった。
いいよ、と迷惑そうなそぶりを見せずに笑う姿は、三年になっても変わらなかった。
進級して同じクラスになって、ひなたはお願いを聞いてもらい続けた。
全然怒るそぶりを見せない彼女に甘え続けた。
彼女への想いは大きくなり続けた。
そんな生活が終わりを告げることをひなたが知ったのは、三年の冬。
秋から、自分は夢ノ咲に通うのだと公言していた。
何となくで、ひなたは彼女に志望校を尋ねた。
返って来た言葉は、ひなたの胸に今でも残っている。
『私は、ひなた君と同じ高校には行けないよ。
夢ノ咲は私には合わないから』
そんなことないよ、と、
一緒に行こう、と、
伝えたかったのに。
彼女の表情を見たら、何も言えなくなった。
何かを我慢しているような、今にも泣き出してしまいそうな、そんな表情。
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ミコト - 9ページめの下から5行目の「己惚れ」は、「自惚れ」の間違いではありませんか?わざとだったらすみません。とても面白かったです!!次回も、楽しみにしてます!! (2017年7月3日 21時) (レス) id: 792bf4f048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぉーる@あんスタ民 | 作成日時:2016年1月24日 22時