8輪 ページ8
うーん…
どこかで見たことあるような気がするんだよねぇ。
昔ほんの少しの間だけ遊んでいた子に、そっくりな気がする。
そりゃ十年も経ったら雰囲気も変わるし、記憶も薄れていく。
俺だって、あの子と何を言っていたか覚えていない。
例え転校生ちゃんがあの子だとしても、今更あの頃の話を持ち出しても意味なんてない。
記憶がないからね。
ただ一つ記憶に残っているのは、名前すら思い出せないあの子は『花火が好きだった』ってこと。
いつも転校生ちゃんの胸元で隠すように揺れているネックレスのトップは、花火を模したものだったはず。
今日はネックレスを付けてないみたいだから分からないけど、多分花火のネックレス。
「転校生ちゃん、今日はネックレスしてないの?」
幸せそうにたこ焼きを頬張る転校生ちゃんは、少し考えてから頷いた。
「浴衣だし合わないって言われたんだよね〜。
だから外してきたの」
自虐的に笑って、また元通りたこ焼きを割り箸でつまみあげる。
「羽風くんも食べる?」
純粋無垢としか表現できない瞳で差し出されたそれを、少し屈んで口に含む。
焼きたてらしくほかほかと温かくて…じゃなくて。
今の「あーん」だよね。
俺を看病する時は仕方ないって感じを漂わせてたのに、どういう変化かな?
それに加えて、たこ焼きを口に運んだ箸も、さっきまで転校生ちゃんがたこ焼きをパクついていた時のもの。
要するに、間接キス。
これは期待していいのかな?
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暗教狂愛ガール(プロフ) - 薫ううう!やべ、鼻血止まんねぇ……… (2016年4月11日 0時) (レス) id: 783b756a7a (このIDを非表示/違反報告)
神紅羅(プロフ) - 私も薫さん大好きです!なので、この話を読んでとても心が温かくなりました!これからも頑張ってください! (2016年3月22日 16時) (レス) id: a79b22a8e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぉーる@あんスタ民 | 作成日時:2016年2月22日 21時