毒林檎のつくりかた 8 (Daiki＆Ryosuke)

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慧「お別れ、出来たんだね。」








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霊柩車に乗った大貴が運ばれて行くのを見届けた後、

私は一度病院に戻るために、タクシーの手配をしていた。








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「はい…」

慧「そっか。」







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伊野尾先輩は私の隣に来て、腰を下ろす。

それから、私にミネラルウォータを差し出した。







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慧「ジュースの方がいいかもだけど、ごめんね。

妊婦さんって、何なら飲んでいいのか分からなくて。」










「いえ、ありがとうございます。」







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一口飲んで、喉を潤す。

久しぶりの水分摂取にほっと息をついた。








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慧「…来てくれてありがとう。」








.








伊野尾先輩がぼんやりと前を見つめて口を開く。








私は頷くことしか出来なくて、

もらったミネラルウォータをぎゅっと握る。









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慧「大ちゃんの顔、ブサイクだったっしょ。」

「え…」









慧「いつも通りの寝顔みたいでさ。ずりぃよね。」








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愉快そうにフッと片頬を緩め、

伊野尾先輩は背もたれから身を起こす。







だけど、その目はやっぱり赤くて

哀しみを物語っている。








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慧「大ちゃんってさ、優しいよね。」

「はい…」








慧「あとうるさい。俺たちの前では何かあるとギャーギャーばっか。」

「そう、なんですか。」








慧「そんでもって寂しがり屋さんだったなぁ。」

「え…」








.








伊野尾先輩がヘニョリと笑顔を浮かべる。









予想してなかった言葉に、私は目を開けて

伊野尾先輩を見つめて。








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慧「…山田とはなちゃんが付き合ってるって話ししてたとき、

大ちゃん、物凄く泣きそうな顔してたの気づいてなかった?」










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