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***
涼介「つーか俺、弦楽器なんて
やったことないんすけど。」
.
わしゃわしゃと髪の毛をかいて
先輩たちに体を向ける涼介…
涼介の目線が変わって
ほっと息をつく圭人くん。
.
光「じゃあボーカルとかどうよ?」
涼介「ボーカル?」
光「本当は四年がいるんだけど、アイツら、
就活やら卒論やらで忙しいし、あんま来れないだろうし。」
.
涼介「はぁ…」
慧「それに山田の声、イケボだし。」
涼介「イ、イケボ…!?」
.
伊野尾先輩の言葉に
分かりやすく照れる涼介…
これ、先週と同じパターンだ。
.
光「じゃあボーカルって事でいい?」
涼介「ま、まぁみんながそう言うなら…」
光「ほーい。ボーカルは山田…と。」
.
涼介の了承で、スマホのメモアプリに
文字を打つ八乙女先輩。
.
光「はなちゃんはどうしようか?」
「わ、私は楽器なんてとても…」
「わり、遅れた。」
.
私の声と被って、
ガチャッとスタジオのドアが開く音がした。
.
「あ、やっぱりもう始まっちゃってる?」
.
聞き覚えのある声に、
私の体が分かりやすく反応した。
その瞬間、涼介は目を見開いていた。
.
光「遅ぇよ。先週も結局来なかったし。」
「ごめんって。」
慧「そうそう。それに光ったら寂しくて泣いてたし。」
「え…」
光「伊野ちゃんテキトー発言やめなさい。
てかお前も顔赤くしない!」
.
仲良さげな三人の姿。
“彼”は着ていたパーカーを脱いで
裕翔くんと圭人くんに目線を向ける。
.
「どーも。君たち新入生?」
裕翔「はじめまして。中島裕翔です。」
圭人「お、岡本圭人、です。」
「へぇ。どーも。よろしくね。」
.
彼たちが自己紹介をしている間、
私は動けなかった。
いや、"私たち"は、だ。
隣に立つ涼介も固まっていた。
.
「なんで…」
.
だって、今入ってきたのは
ついこの前、私を振った人。
そして涼介が探していた人…
.
大貴「俺はDTM, PA、編曲担当の有岡大貴。
よろしくね。」
***
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作者名：まりも
| 作成日時：2020年2月22日 22時
