53 ページ3
***
今、座っててよかったと思う。
足がガタガタと震えて
その場に崩れ落ちそうだった。
.
何で?
どうして?
言いたいことは山ほどあるのに
口が動かない。
.
「だれ、と…?」
.
それでも、やっと口に出せたのは
たった一言だけ。
口元が震えて、情けない声だ。
.
大貴「白井優雪。
この前、お前も見た子。」
.
ついこの前、遠くから見ていた光景が
頭の中で繰り返し流れて呆然とする。
愛しそうにゆきちゃんの髪を撫でる
大貴の姿が。
.
やっぱり、あれは嘘じゃなかった。
二年前まであそこに居たのは、私だったのに。
大貴の目に映っていたのは、私だったのに…
.
「い、つから…?」
大貴「初めて優雪に会ったのは家庭教師のバイトで。
付き合い始めたのは二年前の冬から。」
.
淡々と話す大貴にキリキリと胸が痛む。
.
二年前の冬は、私と別れたとき。
そして家庭教師での出会いってことは
私が大貴に会いに行った時、彼の中にはあの子がいた…
.
「…っ、なんで…?」
大貴「ん?」
「…あのとき浮気しないって言ったのに
なんでなの…?」
.
それは大貴が高校を卒業するときに
約束したことだった。
息苦しくて、上手く息ができない。
涙が目にたまって、零れ落ちそう…
.
私は唇を噛んでグッと堪えて
大貴を見た。
でも…
.
大貴「財閥の娘だから。」
.
大貴は、ただただ無表情のまま
冷たく嘆息をついた。
***
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 916人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まりも
| 作成日時：2020年2月22日 22時
