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初めてAの言葉に縋ったのは、貰った鈴のピアスを父親に窓から投げ捨てられた日だった。
「こんなガラクタいつまで握りしめてるつもりだ」と、気づいた時にはもう遅く、散々殴られて床に寝そべっていたオレは、目の前で投げ捨てられるピアスを前に何も出来なかった。
最後に聞いたチリンという音が耳から離れない。
アレを無くしたと知ったら、Aはオレを見放すだろうか。
嫌だ、見捨てられたくない。
Aに見捨てられたら、オレはどうやって生きればいい。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
早く、あの音を見つけ出さないと。
「退けッ!」
節々が痛む体を無理やり起こして、行手を阻む父親を押し退ける。
背後からはオレにブチギレた父親の怒号が飛んでくる。
それを必死に押さえる母親の泣き声も混ざりあって、不協和音としてオレの耳に届く。
……どう頑張っても今日一日は戻れそうにない。
エントランスを走り抜けて鈴の落ちそうな場所に回り込む。
丁度部屋の真下に当たる位置で上を見上げれば、オレの暮らす部屋らしき窓がパリンと割れ、時間差で頬に鋭い痛みが走った。
割れたガラスの一部が落ちてきたらしい。
つぅっと頬を伝う鮮血は手の甲で拭い、早速真下の植木に手を突っ込んだ。
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「はぁ、はぁ、くそッ」
どのくらいの間探していたのかも分からない。
割れた窓の向こうもいつの間にか静かになり、嫌に晴れ渡った空がジッとオレを見下ろしている。
もう顎を伝っているのが血なのか汗なのかの判別さえ出来なかった。
チリン
そんな時だった。
背後から凛と澄んだ鈴の音が聞こえてきたのは。
歪む視界の中で後ろを振り返る。
は、は、と短く呼吸をするオレと目が合うと、そいつは驚いたように目を見開いて肩を掴んだ。
今にも泣きそうな瞳に、血塗れで汗だくなオレの姿が反射していた。
「一虎、どうした!何があった?!」
「……A……おねが、い……おれ、を、すてないで……A、A……」
「誰がオマエを捨てるかよ馬鹿一虎!!兎に角今はウチ行くぞ!!!」
頭がぼーっとしている間にもオレはAに背負われていて、絶対に離さないようにぎゅっと首元に抱きつく。
何度も染めて傷んだAの金髪が頬に刺さる。
離さない。離さない。
オレもAを離さないから、Aもオレを離さないで。
Aは、オレの味方だろ?
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黒崎結利加(仮名) - うぅ、、、な、涙がぁ、、、何回読み返したのだろうか。この作品に出会えてよかったです‼主様、これからも頑張ってください!応援してます‼(え、イラストうますぎません?教えてください‼師ショー((殴) (2023年4月6日 3時) (レス) @page34 id: 5c1ce3d064 (このIDを非表示/違反報告)
Naifu - 凄い作品ですね!歳離れてるのってなんか変な感じで終わるのかな…なんて失礼なこと思ってたんですけど、まとまりとかお互いの関係的なものがよくて夢中になって読みました!本当になんか心があったまりました。これからも頑張って!無塩バターさんのこと応援してます! (2021年12月6日 20時) (レス) @page33 id: 1c04a135ec (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - 姫乃さん» 小説の方もイラストの方も褒めてくださりありがとうございます!感じたことを言葉に表すのって難しいので、なんかいいなと思って頂けただけでも嬉しいです!確かに、作者自身もよく逃げ出したいと思うことがあるので、自然と案が浮かんだのかもしれないです(笑) (2021年11月21日 17時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
姫乃(プロフ) - とっても素敵な小説でした!!その上絵もお上手で!!なんて言うか上手く言えないけどなんかいいなって思える素敵な作品でした!!主様が平日更新が忙しい。ということを言ってらっしゃってそんな主様だから書けた作品なのかななんて思ったり。素敵な作品でした!! (2021年11月19日 1時) (レス) @page35 id: 1356d63b83 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ミルクレープさん» コメントありがとうございます!きっと彼らの絆はこの先一生切れることなく繋がっていくんだろうと思います。こういう少し歪だけど何よりも綺麗な絆が大好きなので、そう言っていただけて嬉しいです!文才はすずめの涙程しかないのでご勘弁を(笑) (2021年10月31日 20時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
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