敵の姿−12− ページ42
「被害者は身元不明。スクラップ置き場に捨てられていました」
それから悲劇の日がくる。
警察の言葉に納体袋を開けて、驚きを隠せなかった。
あの幸せな日を思い出す。
「寂しい人生でも、最後くらい花になったっていいじゃない？あったかくて、いい匂いがする場所で、きれいな花になれたら、幸せだと思わない？」
「生きてるうちに幸せになれないもんか」
「……幸せにしてくれる？」
彼女はイタズラに笑った。
「逆プロポーズ」
でも、その瞳は真剣だった。
「お疲れ様でした」
解剖が終わり、警察から労いの声が聞こえてくる。
「後はやる」
もう一人の解剖医に声をかけると、そいつは出て行く。
「Aも上がっていい」
『いえ、最後まで手伝わせてください』
その時のAの言葉なんてあまり聞こえてなかったと思う。もう、限界で。
夕希子の冷たい頬に触れると泣き崩れた。
それに対してAは深く聞くこともなく、俺を抱きしめた。
……その体温は夕希子とは違ってとても温かかった。
それから警察に誤認逮捕され、日彰医大を解雇され、復讐が渦巻く気持ちと共に、巻き込んでしまったAが少し気がかりだった。
『中堂先生！』
よく出入りする喫茶店に行くと、そこにはAがいた。
「A……お前、どうして」
『ここ、中堂先生の行きつけって聞いたので、ここなら会えるんじゃないかって』
「ストーカーか？」
『違いますよ！』
Aの向かいの椅子に腰掛けると、コーヒーを注文して、ストーカーまがいのAに話を切り出した。
「悪かった。巻き込んだ形になって」
『いえ、大丈夫です。教授も庇ってくれましたし、わたしは何も』
Aはコーヒーを一口啜ると言った。
『あの、わたし……法医学者になります』
「……お前、臨床医希望してなかったか？」
『そうなんですけど……不自然な死は許せないと思ったんです。これから生きていく人達を救えるような、未来のための仕事をしたいなって』
真っ直ぐと澄んだ瞳に、つい視線を逸らした。
「そうか……決意表明は以上か？用が済んだなら帰る」
『待ってください！』
立ち上がろうとしたら、Aに引き止められた。
『わたしじゃ、ダメですか？』
「は？」
『わたしじゃ中堂先生の右腕にはなれませんか？……一緒に犯人を見つけ出したいんです』
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鞠香(プロフ) - ともみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張ります！ (2018年3月19日 19時) (
レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ - おもしろい！更新楽しみにしてます！ (2018年3月19日 2時) (レス) id: f743b881db (このIDを非表示/違反報告)
鞠香(プロフ) - 青龍 葵さん» こんにちは。ドラマの疾走感凄かったですね！完結はもう少し先になりますが、それまでお付き合い頂けると嬉しいです！優しいお言葉ありがとうございました。頑張ります！ (2018年3月17日 18時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - あっという間にドラマ終わっちゃいましたが、どのような最後（完結）になるんだろう？中堂さんとの関係は？とか思いながら、まだまだ完結は先かと思いますが無理のない程度で頑張って下さい！更新、楽しみにしてますｗ (2018年3月17日 4時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鞠香 | 作成日時：2018年3月11日 14時
