遥かなる我が家−03− ページ16
−解剖室
「どれも手足が丸まってますね」
焼死体を初めて見た久部に夕子は説明する。
「焼死体の特徴！筋肉の熱硬直。身長が測れないから四肢の骨の長さを測ってそこから身長を推測する」
そして解剖が始まる。
「よろしくお願いします。１番さん、高度焼損。全身が４度の火傷」
「はい」
ミコトの言う所見に久部は返事をする。
「２番。気管が煤の吸引でクソ真っ黒だ」
「血中のクソＣＯヘモグロビン濃度７０パーセントです」
中堂のクソに対抗する坂本。
「４番さんの骨盤前方が狭いハート形。よって、男性」
「はい」
「久部くんさ、これ一覧にしてボードに書いてもらえる？」
「はい」
「先生いらっしゃいました」
神倉の声に続いて入ってきたのは、高齢の法歯学者だ。
「５番いきます。咬耗で象牙質が歯根ろしゅちゅ」
「え？」
きちんと言えてない法歯学者に中堂は耳を疑った。
−次の日
「おはようございます」
『おはよ、六郎』
今日は朝から昨日の続きの解剖だった。
解剖室で準備をしているところに続々と人が集まってくる。
「本日もよろしくお願いします！」
坂本は元気よく挨拶した。
「６番さん頭蓋骨と硬膜の間にレンガ色の燃焼血腫」
「はい」
ミコトの所見を聞きながら久部は写真を撮る。
「８番。ペースメーカーに識別番号MTUR25J」
『はい』
「次お願いしまーす」
ミコトの声に警察官が遺体を運び入れる。
「はい、９番です」
中堂班のところでは法歯学者がデンタルデータをとっていた。変わらず滑舌は悪い。
「70しゃい以上」
「７０歳」
「７０しゃい以上」
「７０歳」
「しゃい！」
「歳！」
『な、中堂さん……ふふっ』
滑舌の悪い法歯学者を執拗に訂正する中堂にAは小さく笑った。
「９番さん後頭部の皮膚に挫傷」
「はい」
夕子はミコトにメジャーを渡す。
「幅３センチから４センチ。斜めに長さ６センチの陥没骨折とそれにつながる亀裂骨折」
「はい」
久部は所見を記入する。
「血腫の色が……レンガ色ではなく暗赤色」
『えっ？』
ミコトの言葉にみんな９番の遺体を見る。
「燃焼血腫ではなく、静脈洞の破綻による急性硬膜外血腫」
「それってつまり……」
久部にミコトは答える。
「焼死するより前に後頭部を殴られた可能性がある」
「……殺人？」
久部の呟きは静かになった解剖室へ響いた。
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鞠香(プロフ) - ともみさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張ります！ (2018年3月19日 19時) (
レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ - おもしろい！更新楽しみにしてます！ (2018年3月19日 2時) (レス) id: f743b881db (このIDを非表示/違反報告)
鞠香(プロフ) - 青龍 葵さん» こんにちは。ドラマの疾走感凄かったですね！完結はもう少し先になりますが、それまでお付き合い頂けると嬉しいです！優しいお言葉ありがとうございました。頑張ります！ (2018年3月17日 18時) (レス) id: 3fdde94521 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - あっという間にドラマ終わっちゃいましたが、どのような最後（完結）になるんだろう？中堂さんとの関係は？とか思いながら、まだまだ完結は先かと思いますが無理のない程度で頑張って下さい！更新、楽しみにしてますｗ (2018年3月17日 4時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鞠香 | 作成日時：2018年3月11日 14時
