誰がために働く−09− ページ44
中堂は電話に出ると、木林のいつもの声が聞こえてくる。
「《木林ですが中堂さん今どちらにいますか?》」
「UDIだ……出たか!?」
「《はい、赤い金魚》」
電話を切ると急いで立ち上がる中堂に、Aは声をかける。
『中堂さん!』
「何だ!急いでる」
『出たんですね?』
「……ああ」
何が、とは言わなくても、言われなくてもお互いに何か分かる。
『あの……今日行ってもいいですか?中堂さんの家』
Aの言葉に中堂は無言で、鞄からキーケースを取り出すとその中から鍵を一つ取って手渡した。
『え?』
「場所は所沢だ。遅くなるかもしれない。先に待ってろ」
『は、はい……あ、ちゃんと喪服着て行って下さいね』
「わかってる」
それから木林の車に裏口から乗る中堂をAは建物の窓から見ていた。
すると、その後ろからタクシーに乗る人影が。
『え……あれ、ミコト?』
見間違えるはずのない、幼なじみの後ろ姿。
そのタクシーは明らかに木林の車と同じ方向へ向かって行った。
『そっか……』
頭が良く、勘も働くミコトが中堂さんの過去に気付かない訳がない。バレるのも時間の問題か……。
Aはラボに戻ると真っ直ぐロッカーへ行き、身支度をして中堂の帰りを待つ為、家へ急いだ。
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カハラさん(プロフ) - 中堂先生のお話ないかな〜と探していたところ、こちらに辿りつきました。とても楽しいです!そして胸キュンしてます。ステキなお話を作ってくださってありがとうございます。 (2021年2月23日 8時) (レス) id: 1af5439158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - 質問よろしいですか? (2020年12月26日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鞠香 | 作成日時:2018年1月31日 23時