誰がために働く−08− ページ43
そして、久部に小さな疑問が湧き上がる。
「あの、Aさんって三澄家の人と仲良いですよね？」
『そうだね〜ミコトとは幼なじみだし』
「え！？」
「昔、家が隣同士だったの」
「へぇ、そうだったんですか……」
そう言って静かになる２人に久部は声をあげた。
「じゃあ、早速探しましょう。僕、あっちの方向行きます」
「じゃあ私はあっち」
そう言って集まった久部、夕子、弟の秋ちゃんは三方向に散って行く。
「ごめん、もう１人来るからAは先に行ってて」
『あ、佑くん？』
「そうそう」
『わかった。あのさ、ミコト』
「うん？なに？」
Aの神妙な面持ちにミコトは首を傾げた。
『久部くんに、話し過ぎじゃない？過去の事。この前のトラックに閉じ込められた時もそうだし』
「あ〜……ごめん、嫌だった？」
『違うよ。ミコトが良いならわたしも良いの。でも、ミコトがまた過去の事で辛い思いするのは、わたしも嫌』
「A……」
自分を心配して言ってくれる幼なじみに、ミコトは胸が温まる感じがした。
それと同時に、つい先日中堂へ言った言葉が思い起こされる。
“Aを傷付けたら許さない”
なんて、私たちは似た者同士なんだろう。
「ふふっ」
『ミコト？』
「なんでもなーい。早く、見つけてあげよう？マンホール」
『うん。じゃあわたしはこっちの方向から行くね。また後で』
そう言ってAはその場を後にした。
それからしばらくして、工場の人達も参加してくれて一気にマンホールはアプリ上で済マークが付いていく。
その内、佐野さんが転んだであろうマンホールも見つかり、近くのマンションの監視カメラから映像として確認が取れた。
『あ〜疲れた！』
Aは１人ラボに戻ると外はもう薄暗くなっていた。
デスクに腰掛け、パソコンを開く。
「直帰しなかったのか？」
『あ、中堂さん。お疲れ様です。ちょっと報告書が書きかけで』
「そうか……マンホール見つかったのか」
『はい』
「それはご苦労なこったな」
ソファーに座り直した中堂に、スマホのバイブが鳴った。
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カハラさん(プロフ) - 中堂先生のお話ないかな〜と探していたところ、こちらに辿りつきました。とても楽しいです！そして胸キュンしてます。ステキなお話を作ってくださってありがとうございます。 (2021年2月23日 8時) (
レス) id: 1af5439158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - 質問よろしいですか？ (2020年12月26日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鞠香 | 作成日時：2018年1月31日 23時
