誰がために働く−01− ページ36
その日、UDIラボでは説明会が行われていた。
説明会も一段落して、ラボに戻るとそこにはミコトの母がいた。
「あら、Aちゃんじゃない！」
『ミコトのお母さん！？こんにちは、えっと……今日はどうされたんですか？』
「うふふ、まずは皆さんにご挨拶と思って」
そう言うと、ミコトの母・夏代は所長である神倉に向き直った。
「はぁ〜弁護士さん」
名刺を手渡されて、神倉は感嘆の声をあげる。
「はい。主に離婚問題や労働問題について取り扱っています。あ、これどうぞ」
「あっ！しあわせの蜂蜜ケーキ！今話題の」
「ご存知でした？」
「すぐそこに店舗が出来たんですけど、行列で買えなくて」
神倉は夏代の手土産を嬉しそうに受け取ると、すぐ横にいたAに渡す。
Aは切れって事ね、と神倉の意図に気付いて裏のキッチンへ回った。
そして夕子は何の気なしに言う。
「社長がイケメンなんだよね」
「なんで知ってるの」
「よくテレビに出てるじゃん！通販サイトもやってて蜂蜜ケーキはそのサイトか直営店でしか買えないの」
夕子の情報にミコトが感心していると、中堂がラボへ戻ってくる。
それに目ざとく気付いた夏代はミコトに小声で話しかける。
「もしかして、あの人がもう一人の解剖医？」
「え？中堂さん？そうだけど……って、ちょっと待って」
夏代は素早く中堂に近付くと名刺を渡して挨拶をする。それをミコトは無理矢理引き離した。
「ちょっと、お母さん！」
「彼、いいわね。独身？」
「いや、確かバツイチって」
「あ〜バツイチか。まぁ、それでもいっか」
「なにがいいの！？それに中堂さんはAの……」
ミコトは言いかけて口を噤む。
２人は付き合っているのかいないのか、ミコト自身まだハッキリと聞いてないのだ。
「えっ？もしかしてAちゃんの彼氏だった？やだ〜Aちゃんもやるわね！隅に置けないわ〜」
「いや、だからそうじゃなくて」
「違うの？」
「私も分からないんだってば……もう、お母さん何しに来たの？」
「仕事よ、仕事！」
そして、Aが切ったその蜂蜜ケーキと紅茶を食しながら、夏代は本題に入る。
「明日、解剖してもらうバイク事故で亡くなった佐野祐斗さん。事故を起こしたのは３日前の深夜。周囲に車もいない、単独の自損事故。救急車で運ばれたけど、即死だった」
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カハラさん(プロフ) - 中堂先生のお話ないかな〜と探していたところ、こちらに辿りつきました。とても楽しいです！そして胸キュンしてます。ステキなお話を作ってくださってありがとうございます。 (2021年2月23日 8時) (
レス) id: 1af5439158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - 質問よろしいですか？ (2020年12月26日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鞠香 | 作成日時：2018年1月31日 23時
