予定外の証人−09− ページ28
コーヒーを淹れる中堂にミコトは声をかける。
「そちらの訴訟はどうなんです?坂本さんの代理人と会ったんですよね?」
「ああ……訳が分からなかった」
《回想》
テーブルには神倉、中堂、坂本の代理人が座っていた。
「坂本さんは中堂さんの辞職を望んでいます。」
「無理だな」
代理人からの言葉に即答し、席から立ち上がる中堂を神倉は引き止める。
「いや、中堂さん、まず聞いてみよう」
「……はい」
中堂は席に着くと、代理人がまた話し出した。
「和解を拒否するのであれば精神的苦痛に対する慰謝料と心からの謝罪を裁判で認めて頂きますのでそのおつもりで」
「なんの謝罪だ」
「はい?」
「何一つ心当たりがない」
《回想終了》
ミコトは呆れたように言う。
「パワハラで訴えられているの分かってます?」
「なにをもってパワハラなんだ」
「今まで検査技師の人たち辞めさせてますよね?」
「あいつらが勝手に辞めた。俺はなにも知らねえ」
ソファーで参考書を読むAの隣に、中堂はコーヒー片手座る。それをミコトは訝しげな目で見つめた。
「中堂さん……今まで言おうか言うまいか、ず〜っと悩んでたんですけど、」
「うん……?なんだ?」
「中堂さんって、相当感じ悪いですよ」
やや、傷ついた表情を浮かべる中堂に、隣に座るAは心配そうに見遣る。
そんな事に気付かないミコトは同意を求めるように、チラリと久部を見た。
そして、顎で“言え”と合図する。
「よ……よくは、ないかもです」
「人の感じ方まで責任持てるか!」
「愛想を振りまけとは言いませんけど、立てなくて良い角を立てることないでしょう?」
「108回……と言われた」
《回想》
「こちらは証拠としても裁判所に提出しますが、依頼人はこんなにも暴言を吐かれたと言っています」
プリントアウトされた紙には、日時、場所、暴言内容、状況などが細かく記載されていた。
それを見て中堂は驚く。
そこには、クソだ。クソすぎる。クソだな。クソが。とクソのオンパレード。
その合計回数はなんと108回だった。
《回想終了》
.
1214人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カハラさん(プロフ) - 中堂先生のお話ないかな〜と探していたところ、こちらに辿りつきました。とても楽しいです!そして胸キュンしてます。ステキなお話を作ってくださってありがとうございます。 (2021年2月23日 8時) (レス) id: 1af5439158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - 質問よろしいですか? (2020年12月26日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鞠香 | 作成日時:2018年1月31日 23時