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予定外の証人−08− ページ27

公判も終わり、ベンチで休むミコトに夕子は声をかける。


「感情的な女、みたいになってたよ」

「どーもありがとぉー」


後悔たっぷりといった声で言うミコトに、亀岡弁護士が近付いてくる。


「策に乗ってしまいましたね」

「すいませんでした」

「いいえ、仕方ありません。相手は白いものも黒くする烏田検事です」


視界の先にその嫌な奴を見つけてしまう。


『来た。カラス』


烏田はミコトに近付いて言う。


「いや〜あなたのような女性に弁護側についてもらえてよかった」


嫌味な顔でそう言うとさっさと目の前から立ち去った。


「ミーコートー」


恨めしそうな顔で烏田を睨む夕子に、ミコトは感情を抑えて声をかける。


「ダメよ、ダメ。感情的になったら負けだから」

「負けだけど、人間だもの」

「感情的になるべき?」

「べきじゃない?」






−UDIラボ


「いざ!」


ミコトはシャキンと包丁を出す。
それを肉の塊に走ってぶっ刺した。


「出ました。距離1.3 速度125 深さ16です」


計測結果を言う久部に、神倉は慌ててミコト達に近寄る。


「ちょっと!なにやってるの!その肉いくらしたの!?」


そしてミコト達に言い放った。


「証言なんてボランティアみたいなもんなんだから大赤字じゃない」

「自腹です」

「自腹!?」

「こんな大きな買い物全自動洗濯機を買って以来です」

『ミコトも思い切ったねぇ〜』

「感情的にね。UDIラボの代表としてかならず無罪を勝ち取ります」

「……よろしく」


そして実験は続けられる。


「よっ!」

「速度135 深さ18でーす」


実験結果を告げる久部に、神倉は持っていた記事のプリントを見せる。
そこには週刊誌の記事で、先日の裁判の事が面白おかしく書かれていた。
【理性の検事VSヒステリー女法医学者】と書かれた見出しにはミコトの顔写真も載っている。


「これ見せない方がいいよね?」

「見せちゃダメです」

「まいったなーなんでこんな書き方するかな」


その記事が週間ジャーナルと言う事に気付いた久部は外で抗議の電話をしたが相手にされず。
溜息をついて電話を切った久部の背後に中堂。


「どれ」

「え、今の、電話聞いてました!?」


中堂はその紙を持ったまま室内へ入る。


「事実は明明白白じゃなかったのか?『ヒステリー女法医学者』格好の餌だな」


それをミコトに渡すと、彼女は「なんとでも言ってろ!」と怒り気味にまた、実験を再開するのだった。



.

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設定タグ:アンナチュラル , 中堂系   
作品ジャンル:タレント
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カハラさん(プロフ) - 中堂先生のお話ないかな〜と探していたところ、こちらに辿りつきました。とても楽しいです!そして胸キュンしてます。ステキなお話を作ってくださってありがとうございます。 (2021年2月23日 8時) (レス) id: 1af5439158 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - 質問よろしいですか? (2020年12月26日 16時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鞠香 | 作成日時:2018年1月31日 23時

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