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電話は切れてしまい、これで本当に外との連絡は絶たれてしまった。あとはもう系くんがここを見つけ出してくれると信じて待つしかない。だからどうかそれまでの時間稼ぎに少しでも水の侵入を防ぐためガムテープを貼っていく。
「Aさん、もうダメなんじゃないっすか?」
『酸素が少しでも残っているうちは死なないよ。』
「完全に水没したら?」
『息を止めて、泳がずじっとしていれば2〜3分はもつ。意識を失うまでは1分。呼吸停止から3分までは心臓が動いている。その間に救出されれば助かる見込みはある。人間は意外としぶといのよ』
でも確かに、こんな状況じゃもうダメだと思っても仕方ない。だけど私は、こんなとこで死ぬわけにはいかないんだ。せめて、お姉ちゃんの死の真相を突き止めるまでは、系くんに協力すると決めたのだから。
「Aさんは、どうしてあのとき、自分なら殺してしまって欲しかったっていったんですか?」
『え?』
「前に、中堂さんと3人で三澄さんの論文の話をしていたときです。俺は、どうしてもあの言葉が引っかかってて」
『それはね、私も両親と弟を無理心中で亡くしているからよ。私も取り残された1人...』
「え...?」
『ある日、幼稚園のバスを降りても、いつもお迎えに来てくれているはずの母親がいなかったの。でもバス停から家はすぐ近くだったから、私は家まで1人で帰った。ドアに鍵はかかってなくて、私はそのままリビングへ向かったの。そしたらそこには血まみれで倒れている父親と母親と双子の弟がいた。』
「...そんな」
『そこからのことは記憶が曖昧で覚えていないけど、後から聞いた話だと私はお隣の家に助けを求めていって、お隣のおばさんが警察を呼んでくれたそうなの』
誰かにこの話をするのはずいぶん、久しぶりかもしれない。こんな状況だからなのか、相手が六郎くんだからなのかはわからないけど、少し弱音を吐きたくなった。
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Lily(プロフ) - 青龍 葵さん» 貴重な情報ありがとうございます!名前見つけることができなかったので、本当にありがたいです!時間があるときに訂正させて頂きます! (2018年3月29日 19時) (レス) id: 827c947e88 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - P26で登場した「祐くんの妹」の名前は『佐野百合奈』です!実際ドラマ内では名前を呼ばれることは無かったかと思いますが設定では「佐野百合奈」っと言う名で表記してありますので訂正お願いしますm(__)m (2018年3月28日 2時) (レス) id: a3d4cc2e55 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - おじょうさん» コメントありがとうございます!久部くん小説の中で1番お気に入りだなんて言って頂けてとても嬉しいです!!!嬉しくて二度見しちゃいました(笑)続編に移って頑張りますので、そちらもよろしくお願いします(^^) (2018年3月3日 23時) (レス) id: 827c947e88 (このIDを非表示/違反報告)
おじょう(プロフ) - 久部くん小説の中で一番お気にいりになりました!とても面白くて大好きです★無理しない程度に更新お待ちしてます♪ (2018年3月3日 9時) (レス) id: aece03adca (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - 通りすがりの女ですさん» うちの久部くん可愛いって言ってもらえてうれしいです!これからも可愛いください部くん書いていきますので、よろしくお願いします! (2018年2月28日 22時) (レス) id: 827c947e88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lily | 作成日時:2018年2月14日 0時