Tell me why

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脅迫状のこともあって、なんだかAさんが心配で仕事が終わるのを勝手に待っていた。

そもそも脅迫状とかなくてもAさんくらいの美人なら、ただ街を歩くだけでもなにかありそうで心配だ。


『六郎くーん、これ運んでー』

｢あ、はい｣

『テーブルの上に適当にといてね』

｢わかりました｣


ただ送るだけのつもりだったのに、まさか家でご飯を誘われるなんて思わなくて、最初は戸惑ったけどこんなチャンスめったにないし、せっかくだからお邪魔させてもらうことにした。


｢Aさん、これめちゃくちゃうまそうです｣

『ふふ、そうかな？お口にあうといいけど』


好きなものを作ってくれるっていってくれたけど、Aさんの作ってくれるものならなんでもいいっていったら、そういう答えが1番困るとかいいながら、自分が食べたいからってハンバーグを作ってくれた。


『六郎くん、飲み物お茶かコーラかオレンジジュースどれがいい？』

｢じゃあコーラで｣

『私、ワイン飲んでもいい？』

｢はい、どーぞ｣


俺の分のコーラと自分のワインを持ってきて俺の前に座るAさん。


『ごめんね、六郎くんバイクで飲めないのに私だけ飲んじゃって。今日飲もうと思って昨日から決めてたから我慢できなくて』

｢全然大丈夫ですよ。そもそも俺、お酒より炭酸好きなんで｣

ちょっと申し訳そうにしながらも、飲みたくて仕方ないって顔したAさんにダメなんて言えるわけない。


｢じゃあAさん、いただきます｣

『ふふ、めしあがれー』

｢...え、うまっ！｣

『おいし？』

｢はい！めちゃくちゃおいしいですっ！｣


これはお世辞抜きでめちゃめちゃおいしい。


『よかった。系くん以外の人に食べさせるの久しぶりだったけど、うまくできててよかった。系くん味とか気にしないし』

｢中堂さんに、作ったりするんですか？｣

『たまにね。あの人不健康なものばっか食べてるから』

｢...そうなんですね｣


聞かなきゃよかったと少し後悔。


｢そういえばAさんって子どもの扱い上手でびっくりしました｣

『え、そう？』

｢そうですよ。子ども好きなんですか？｣

『好きも何もさ、私こう見えて元小児科医です』

｢えっ、そうだったんですか？！｣

『そうだよー。だからまあ、子どもの扱い得意っていえば得意よね』


中堂さんのことから話をそらしたくて、話を変えたけど、Aさんって小児科医だったんだ。ちょっと意外なような、そうでないような。



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