魔界【くろのわ】 (ページ49)

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【衝動】鎮静ページ49

「もう大丈夫だよ。吸血衝動抑える薬飲ませたから。」
「今まで無かったのに…」
「葛葉の種族は血を飲まなくても大丈夫だけど、根本は吸血鬼だから。」
「助けてくれてありがとう。」
「かなかなが無事で良かったよ。」
「何が何だか分かんないけど、役に立てたなら良かったさ。」

「いっ…」

葛葉が意識取り戻して起き上がろうとしている。
ドーラが僕の前に立ってまた守ろうとしてくれる。

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KZ Side

全身の痛みで目が覚めた。
…何してたんだっけ？

ゆっくりと起き上がると、事務所の会議室。
社とドーラとりりむが攻撃的な目で俺を見ている。
そして…怯えた目の叶。

あぁそっか…やっちまったんだ…
いつか起こるかもしれないと、ずっと恐れていた事…

俺は立ち上がって頭を下げた。

「すみませんでした。あの…怪我とか…？」

「葛葉！良かったぁ～。」
「儂らは何ともないよ。葛葉は大丈夫か？」
「お前は大丈夫か？その衝動的なヤツ。」

「あぁ。怪我無くて良かった…ホントすみませんでした！」

俺は深々と頭を下げて逃げるように事務所を出た。
それから、人気のない路地裏に入って頭を抱えて座り込んだ。

最悪だ…
まだこの世界にいたかったのに…叶と楽しい事やりたかったのに…

俺が一番やってはいけない事。
人間を襲ってしまった。
…それも一番大切で、守り抜くと決めた奴を。

あの怯えた顔を思い出して、涙が溢れてくる。

ガシガシと袖で目を擦って涙を堪えて、タクシーを拾って家に帰った。
ずっと叶から電話やラインが来ていたけど、答える事は出来なかった。

家に帰ってベッドへ倒れ込んだ。
ぶたに事情を説明と、この家の解約やら片付けを依頼するメールを送った。

火畜には明日配信しないとな。
事務所も…明日でいいか。

現実逃避するように眠りへと逃げた。

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KN Side

葛葉が申し訳なさそうな、苦しそうな、悔しそうな、不安そうな表情で謝って逃げるように出て行くまで、僕は動けなかった。
頭では追わなきゃって思っているのに、体がビビッて言う事を聞いてくれない。

その後、電話をかけてもラインをしても返事が無い。

「かなかな。葛葉の元へ行ってくれんか？」
「俺も同じ意見だ。アイツ今凄い恐怖やら不安で押しつぶされそうになってると思うから。」
「兄やんが大丈夫なら、葛葉を救って欲しい。」

「うん！ありがとう。今度絶対にお礼するから！」
「葛葉の事よろしくな！」
「魔界に逃げないようにしっかり兄やん捕まえててね！」