その100 ページ5
《Aside》
京都行って東京に寄って、ようやく長野に帰ってきた。これだけ移動したんだから疲れて動けないだろうと思ったんだが、翌朝起きるとなぜか疲れが吹き飛んでいた。
休暇終了まではまだ日にちがあったけど、何もすることがないし、お土産の賞味期限もあるから明日から登庁しよう。
翌日、久しぶりのスーツを着て県警本部に向かった。捜査一課の部屋に入ると、中にいた人が全員驚いた顔で私を見た。
上「Aちゃん、どうして⁉まだ休暇中でしょ⁉」
敢「羽田、お前ついに頭やられたか。」
『ちょっとそれどういう意味ですか⁉私が頭おかしいみたいな言い方しないでくださいよ！』
敢「でもまた日付間違えてんじゃねぇか。東京から帰ってきた時も間違えてただろ。」
『確かにあの時は本気で勘違いしてましたけど頭は正常です。今回はちゃんとお土産も持って来ましたし。』
諸「どこかに出掛けたんですか？」
『京都に旅行に行って来ました。家にいても暇なだけなので。』
お土産を上原さんに渡した。今回は弾丸で行ったし倒れた時にお世話になったから、お土産は大和班の3人分しか買ってきてない。
敢「京都って言ったら、ついこの前殺人事件があったんじゃねぇか？」
諸「犯人は被害者の友人で、現場に居合わせた高校生が解決したとニュースで見ました。」
上「そういえばそうだったわね。Aちゃんは大丈夫だった？事件に巻き込まれたりしなかった？」
『ひどく巻き込まれましたよ。』
上「え⁉」
上原さんたちに成り行きで事件に関わったことを説明した。もちろん途中で逃げ出したことは伏せて。
敢「それ休暇の意味なってねぇじゃねぇか。」
諸「もう少し休んだほうがいいのでは？」
上「そうよ。どうして今日来たのよ？」
『一番の理由は暇だから。ですけど、京都で事件の捜査してたら、やっぱり早く仕事に戻りたいなって。』
上「でも体調は大丈夫なの？」
『大丈夫です。事件解決したらなんか意気揚々になっちゃって、休んでる時間がもったいないと思いまして。』
私が来たことは予定外だったので、私の分の仕事は分配されてなかった。だから今日は資料を運んだりみなさんにコーヒーを淹れたりしていた。
上「Aちゃんの淹れたコーヒーおいしい！」
敢「不味くはねぇな。」
『みなさんがいつも入れてる砂糖やミルクの量は覚えていますから。』
諸「よく覚えていますね。」
『こういうの覚えるの日本一得意だから、いや世界一かも。』
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作者名：おひたし | 作成日時：2019年5月28日 18時
