その101 ページ6
敢「は?なんで急にタメ口なんだ?」
『羽田秀吉の口癖です。記憶力は日本一も世界一も秀吉ですけどね。私なんてまだまだですよ。』
上「Aちゃんてほんとに太閤名人のファンなのね。」
『あ、いや、ファンではなくて…』
諸「兄妹、ですね。」
『そうです。秀吉が兄で私が妹の双子です。』
上「そうだったの⁉全然気付かなかったわ。」
上原さんは由美さんたちと同じくらい驚いている。諸伏警部は気付いていたみたいだけど、そんなに驚く?
一課のみなさんのお手伝いをしながら諸伏警部が一人になるタイミングを見計らう。諸伏警部には病室で話したっきりちゃんとお礼を言っていない。
話かけようと思っても近くに大和警部や上原さんがいて話づらい。病室で子どもみたいに泣いて諸伏警部を困らせたなんて知られたら何言われるかわからない。
ようやく二人がどこかに行って、諸伏警部が一人になった。いざ話そうとすると緊張するけど勇気を出して声をかけた。
『あの、諸伏警部、少しお時間いただいてもいいですか?お話したいことがありまして。』
諸「ええ、構いませんよ。何でしょうか?」
『病院で私の話を聞いてくださったお礼をまだ言ってなかったので。あの時は本当にありがとうございました。』
諸「いえ、Aさんの元気な姿が見れて何よりです。」
『お礼と言っては何ですが、よろしければこれを。』
さっき上原さんたちに渡したお土産とは別のお土産を渡す。諸伏警部には特に迷惑をかけてしまったから、個別にお土産を買っておいたのだ。
諸「そのようなお気遣いは要りませんよ。先ほどもお土産をいただきましたし。」
『でも、諸伏警部にはいろいろお世話になりましたから。運んでもらった上に話も聞いてもらいましたし、突然泣き出した私に手を握られたまま寝られて帰れなくなりましたよね。すごくご迷惑をおかけしたので…』
諸「いえ、迷惑ではありませんでしたよ。全ては私が好きでやったことなので。」
『でも…このお土産一番高級なもの買ってきました。試食したらすごくおいしかったのでぜひ!』
諸「ではAさんが食べてください。」
諸伏警部は頑なにお土産を受け取ろうとしない。お土産じゃなくても何かお礼をしないと私の気が済まない。
『でも、何かお礼がしたいので何でも言ってください。めんどくさい報告書とか雑用とか何でもやります。』
諸「そうですか。では、明日の夜、私と食事していただけますか?」
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時