その131【怪盗キッドの絡繰箱編】 ページ37
料理本を調べていると、急にコナンくんの顔つきが変わり、大人たちを観察しだした。もしやキッドが誰かに変装してるのかな。
もちろん私のところにもやって来て、探偵の目つきでじっと観察された。
コ「(園子にメイクをしてあげたというA警部はどうだ？帰ってきてからなぜか料理本ばかり調べている…)」
『コナンくん、何か用？』
コ「A警部、料理苦手なの？さっきから料理本ばっかり調べてるみたいだけど。」
『料理は人並みには出来るよ。奥さんは料理をご主人のお母様から直接教わったんなら、料理本も見ないんじゃないかと思ってね。』
コ「教わったのは肉じゃがだけで、その料理本は穴が空くほど読んだらしいよ。」
『えっ、そうなの⁉早く言ってよ！』
奥さんの話を全然聞いてなかった。それじゃあ料理本は調べても無駄だな。
コ「それよりさぁ、彼氏さんからもらった指輪はどうしたの？」
蘭「私も気になりました。京都でお会いした時は指輪してましたよね？」
博士さんに本を取ってもらった蘭ちゃんと園子ちゃんがいつのまにか話に入ってきていた。
園「そうそう！左手薬指だったから婚約したのかなって思ってたんです。」
『結婚も婚約もしてないよ。彼氏はもういないから…』
蘭「え、いないって？」
『死んだの…私の知らないうちに…』
蘭・園「え…」
『あっ、ごめんね、暗い話しちゃって。指輪は大事な宝物だから、今は安全な場所に預けてあるの。』
園「…Aさん、ごめんなさい！私、Aさんの彼氏さんが亡くなってるなんて知らずに、彼氏さんのこといっぱい聞いたりして…」
『気にしなくていいよ、園子ちゃん。私も言ってなかったし。それにね、私は亡くなった人のことを悲しむより、楽しかった思い出を思い返した方が、その人も喜ぶんじゃないかって考えてるの。』
園「Aさん…」
『園子ちゃんと彼氏の話ができて私も楽しかったし、きっと天国の彼も喜んでると思う。だから、そんなに気に病まないで。』
園子ちゃんは今にも泣き出しそうな顔でうなずいた。
沖「(彼氏を亡くした…？)」
コ「(指輪のことを知ってるなら、この3人はキッドじゃねぇな。)」
奥「あら、あなたも最愛の人を亡くしましたの？まだお若いのに…」
奥さんが話を聞いていたようで私に聞いてきた。
『はい。結婚はしていませんけど、高校時代から付き合っていたので今でも彼のことは愛しています。』
奥「まあ、高校時代から！私と同じですわね。」
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作者名：おひたし | 作成日時：2019年5月28日 18時
