その122 ページ28
諸伏警部と付き合えない理由を見つけるまで私の指輪を預けておく、という謎の取り引きをしてから、私たちは何事もなかったかのように接している。
ただ変わったのはヒロがくれた指輪が私の左手薬指から消えたことだけ。ここまで何も変わらないと、忘れられてるんじゃないかって心配にもなる。
私と諸伏警部の動きに何ら変わりがなく、動向がわからずにもやもやしているであろう上原さんが痺れを切らして聞いてきた。
上「ねぇAちゃん、諸伏警部とはどうなったの?告白された?」
『上原さんの予言通り、2回目の食事で告白されましたよ。』
上「やっぱり!それじゃあ今二人は付き合ってるのね!何も変わりがないから心配しちゃったじゃない!」
『いえ、諸伏警部とは付き合ってません。お断りしました。』
上「えっ⁉断った⁉どうしてよ!好きなんでしょ?」
『好きですよ。でも付き合えないんです。』
上「どうして?まだ彼氏さんのこと気にしてるの?」
『それもありますけど、理由は言えません。今諸伏警部が探してくれているので。』
上「どういうこと?」
『私が諸伏警部と付き合えない理由を諸伏警部が見つけてくれたら、私は喜んでお付き合いする。こういう取り引きになっているんです。』
上「ふーん、それで二人とも何もないふりしてるわけね。Aちゃんてかぐや姫みたいなことするのね。」
『いやいやいや違いますよ。私の言い方が悪かったです。この取り引きを言い出したのは諸伏警部ですよ。それに私の大事な指輪を預けてますからね。』
上「もうっ、じれったいわね!そこまで信頼してるなら付き合っちゃえばいいのに!」
『それを言うなら上原さんもですよ。大和警部とは進展ないんですか?和葉ちゃんも気になってましたよ。』
上「えっ、私は敢ちゃんとは別に何も…」
私が思うに上原さんと大和警部も十分じれったい。私たち以上に信頼関係できてると思うのだけれど。
上「って私の話は置いといて!この前も言ったけど、私は二人のこと応援してるからね!」
『応援するなら諸伏警部の方を…』
諸「Aさん、一課長がお呼びです。」
噂をすればご本人登場。今まで通り何もなかったように返事をして部屋を出ようとしたら、諸伏警部に手首をつかまれた。
諸「約束のことは忘れていませんからね。早くこれをお返ししたいのですが、まだ答えは見つかっていません。」
諸伏警部は私の指輪を取り出して私に見せた。まさかずっと持っててくれてるの⁉
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時