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その117【過去編・松田】 ページ23

松「にしてもなんで萩原と会ってたんだ?浮気か?」

『違います!工藤優作大先生の講演会にヒロが行けなくなって、代わりに萩原さんが来てくれたんです!』

松「工藤優作大先生?」

『そうです。私の尊敬する推理小説家で、先生の良さを熱弁したら萩原さんも興味沸いてきたって言ってくれたんですよ。』

松「そういうことか…A、いいこと教えてやるよ。」

『いいこと?』

松「萩原が難しそうな分厚い本読んでるって機動隊の中で大騒ぎされてたんだぜ。」

それって私がおすすめした工藤優作大先生の本だよね?本当に死ぬまでに読んでてくれたんだ。

『そういえば、その時に萩原さんから私がブラックホールみたいって言われたんですけど、どういう意味かわかります?』

松「ブラックホールねぇ、萩原らしい言い方だな。意味なんてそのままだろ。引き寄せて飲み込んじまうんだよ。」

引き寄せて飲み込む⁉ますます意味がわからなくなってきた。全然いい意味じゃなさそうだけど!

松「まあ、今日俺がAを付き合わせたのもそれが関係してるんだけどな。」

『ん?一番暇そうだからじゃないんですか?』

松「東都大首席なら自分で考えろ。」

結局松田さんはいじわるそうに笑って意味を教えてくれなかった。

途中でお花を買って萩原さんのお墓に到着し、お線香を焚き花を供えてから、煙草を箱ごとお供えした。

松「煙草?Aが買ったのか?」

『そうですよ。人生で初めて買いました。』

松「この銘柄、萩原のお気に入りじゃねぇか。よく覚えてんな。」

『こういうの覚えるの得意ですから。』

お墓の前で松田さんと並んで手を合わせる。

『(萩原さん…本読んでくれてありがとうございます。あの時萩原さんを選んでいて正解でした。それと約束…直接言うことはできなくなったけど、私が卒業するところ、ちゃんと天国から見ていてください。)』

目を開けて横を見ると、松田さんは立って私を見下ろしていた。

『早いですね。』

松「お前が遅いんだろ。」

『親友だからもっと時間かかると思いました。』

松「俺はあいつに一言しか言ってねぇよ。お前の敵をとってやるってな。」

『敵をとる…』

松「萩原を殺した爆弾犯をぜってー捕まえて敵をとるって、俺も萩原と約束したんだよ。」

『…でも無茶はしないでくださいね。松田さんも爆発に巻き込まれるかもしれないんですから…』

松「俺を誰だと思ってんだ?爆弾処理班のエースだぜ?もう爆発なんて起こさせねぇよ。」

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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時

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