その118【過去編・松田】 ページ24
『でも萩原さんの時みたいに不可抗力ってこともありますし…』
松「そん時は俺の墓にも煙草供えてくれや。銘柄は…」
『言わなくてもわかりますよ。』
松「ほぉー、その心は?」
『萩原さんと同じ銘柄だから!』
松田さんの方を向いて笑うと、松田さんは一瞬驚いた顔をしたあと笑い返してくれた。
『私、就職先決めたんです。』
松「諸伏の嫁か?」
『違いますよ!確かにいつかはそこに就職したいですけど!』
松「じゃあどこなんだ?」
『警察です。』
松「警察⁉」
『一番上の兄の影響もありますけど、萩原さんの存在が大きいです。萩原さんが守ってくれていたこの国を、萩原さんの分も守りたいと思って。それに、松田さんもヒロも伊達さんも降谷さんも、みんなが頑張ってくれているからこの国があるんだなって考えたら、自分もその一員になって働きたいと思って警察になろうって決めました。』
話しながら松田さんのゆるんだネクタイを直してあげていると右手首をつかまれた。
松「こんな細っせえ腕で警察が務まるのかよ。」
『こう見えて元剣道部ですし、護身術程度ですけど截拳道だってできます。それに、勝負するなら頭で勝負します。』
松「そうか…警視庁で待ってるぜ。」
車まで戻ってくると松田さんは煙草を取り出し吸い始めた。
松「なぁA、俺に爆弾犯が捕まえられると思うか?」
『えっ、さっきすごい自信あったじゃないですか。爆処のエースだって。』
松「それはそうだけど、いつまでも萩原のこと引きずんなって上司に言われてな。だから振っ切らねぇといけねぇのかなってな。」
『振っ切る必要なんてありませんよ。忘れちゃったら、萩原さんは本当に死んでしまうんですから。』
松「どういうことだ?」
『私の場合、萩原さんとの思い出を思い返している時が一番楽しいんです。だから忘れちゃったら、私の中で生きていた萩原さんも思い出と共に消えてしまう…』
松「思い出と共に消える…」
『結局のところ、前に進めるかはその人次第ってことですよ。私は父が死んだ時もこうやって乗り越えてきましたから。』
松「俺もいつまでも悲しんでるわけにはいかねぇな。」
『でも辛くなったらギャンギャン泣いてもいいんですよ。私もすごい泣きましたし。』
松「ああ、そうするよ。Aのおかげで俺も前に進めそうだぜ。ありがとな…」
『どういたしまして、陣平ちゃん!』
松「その呼び方、今日だけだからな//(やっぱりAはブラックホールだな…)」
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年5月28日 18時