私の専属ヒーロー

鉄槌 ページ8

岩本side



「佐山です。失礼します」



佐山がやってきた。

もうこれは時間稼ぎでもある。



阿部の母さんと阿部にはこっそり親父からの伝言を伝えた。


しばらく追及してもやってない、何も知らない、の一点張り。


思わず殴りそうになったが阿部に静止された。




「失礼します」

親父とその部下がやってきて、あっという間に佐山に手錠を掛けて連れて行った。



校長は呆然。

暫くして慌ただしく職員室に指示を出しに行き、お開きになった。



「…ありがとうございました」

阿部の母さんに深々と頭を下げる。



「その女の子の痛みを少しでも和らげてあげてね、その様子だと、照くんその子のこと好きなんでしょ？」

「…はい」

「亮平、ちゃんと応援するのよ？それじゃ」

「ありがとう母さん」



ひらひら、と手を振って何事も無かったかのように帰ってく阿部の母さん。


かっけえな、そう言うと阿部は照れ臭そうに笑った。



翌朝。

学校中が大騒ぎ。

テレビのニュースでもやっているようだった。




A、大丈夫かな。




気づけば俺の足は屋上に向かっていた。



「あれぇ、照？サボりー？」

怠そうに登校してきたふっかに声を掛けられる。


「…まあ、そんなとこ」

「ふーん？昼休み体育館なー？バスケしよ」

「分かった、メンツ集めといて」

「ほーい」



ゆるーい返事をしてそれ以上は俺の行き先に触れてこないふっかは流石だと思う。




そして、午前中いっぱいAとサボって昼寝。


Aの寝顔を見て、思わず頬にキスしそうになったけどギリギリで耐えた俺を褒めて欲しい。


…あぶねぇ。


俺は佐山みたいには絶対になりたくない。




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