番外編 仕立屋さんと貧乏青年と…… ページ18
ここは仕立屋「テーラー・フランネル」。
小さな店主のセレンは、とある依頼に苦戦していた。
「どうしよう……引き受けたは良いけど、わたしには作れない気がする……」
真っ白な布地を前に立ち尽くすセレン。
「……服を作るのがお仕事でも、男性用下着なんてムリですー!」
そう。先程来た客は、一体何を思ったか、この齢17の娘が一人で経営する店に、男性用下着上下一式を注文してきたのだ。創業以来、注文のあった衣服は一着一着手作りしてきた店である以上、セレンとしては自分で作らないわけには行かないのだが……なにぶん、17の娘である。時代によっては少女といって差し支えないような者が、男性用下着など作れるはずはなくはないが、少々難しい。
「うう……やっぱり、断るしかないかな……」
しょんぼりとしているセレン。
ふと、ドアにつけられた鈴が鳴った。
「よっ、セレン!調子はどうだ?」
「あっ、いらっしゃいませ、アーサーさん!」
客人の名はアーサー。通りで靴磨きをして生計を立てている貧民だ。
彼が来たことで、途端にセレンの顔が明るく、少し頬が紅くなった。
「今日は何かご用ですか?」
「横を通りかかったから、ちょっと様子を見に来ただけ。セレンこそ、何か手伝って欲しいこととかあるか?」
「えっと……あっ、えっと、そのっ、今日は、大丈夫です!」
「そっか。んじゃ、また今度!」
そういって、アーサーは何をするでもなく去って行った。セレンの動揺には気づいていない様子だ。
暫く店先で彼の後ろ姿を見送った後、セレンは店内に戻ってほっと息を吐いた。
「……うーん、実際に聞こうかとも思ったけど、やめておいて良かった……」
セレンは独り言を呟きながら、作業台まで戻っていく。
「もう、ごめんなさいって断るしかないよね……男の人のパンツなんて……」
「……せせせせセレンさん!?いいいいい、いあ、今、さっきアーサーくんと一体どんな話を!?」
突然、店内にやって来た男がセレンに詰め寄る。
「きゃあああああ!?!?!?ブラン、さん!?」
「さっき来たところなんだけど、今パンツがどうしたって……アーサーくんから何を教わったの!?」
「ち、違うんです違うんです!さっきの独り言は、別の人からの依頼のことで……」
混乱しているブランとセレン。
ブランの誤解を解くまでに、三十分ほどかかりましたとさ。
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鯱丸(プロフ) - うちのブランを登場させていただきありがとうございます!小説の内容もとても面白かったので、更新頑張ってくださいね。 (2018年2月25日 21時) (レス) id: 933808dc1c (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 通りすがりさん» お話のタイトルが表示されないだけで、お話自体はちゃんと書いてありますよ!占いツクール初心者さんには使いづらかったりわかりにくいシステムもあるかとは思いますが、これから頑張って色々な事を覚えて、素敵な占ツクライフを楽しんでくださいね! (2018年1月9日 21時) (レス) id: ed034718e4 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - (続き)
2話、3話があると思われる欄の脇には更新日時が表記されてるのにお話がないので。
(こちらの問題や勘違いだったらすみません。)
ご不快になられたならすみません。 (2018年1月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - いえ…そういう深い意味合いがあるとかでなく、ただほんとに『1話手段の…』の下の段、2話、3話があると思うとこにお話(の選択?)が表示されていないので質問させて頂きました。
(2018年1月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - 通りすがりさん» 小説の書き方には詳しい方ですかね?もし良い表現方法があれば、ぜひ教えてください! (2018年1月9日 16時) (レス) id: a477fda0e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キューブ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月3日 22時