【QK】ゆめごこち【短編集】 (ページ9)

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sgi『悪夢から目を瞑る』ページ9

目を開ける。静かに鳴り響く針時計の音。

外はまだ……暗い時間だ。

ラベンダーの香水がほんのり香る、きっと隣で寝ている君のものだろう。

怖い夢でも見ていたのか、心臓が何時もより早く鼓動を鳴らしている。
そう、あれは確か、いつも通りの朝で＿＿＿＿

思い出そうとしていたら、隣で寝ていた君が寝ぼけた様子でどうしたの、と声をかけてきた。

「あぁ、いや………嫌な、夢を見たんだ。君がいなくなる夢だよ。」

居なくなる？そう問う君の頭を撫でながら話を続ける。

「うん、いつも通りの朝だったんだ。いつも通り、大学院の研究室に向かって、実験とレポート記述の繰り返しをして、休憩がてら君の研究室にも寄ろうと思ってて…あ、今邪魔しに来るつもりだなって顔したでしょ。…まぁ、間違いではないけどさ。」

もう、と頬を膨らましている、が満更でも無さそうだな、可愛いヤツめ。

「……そう、しようと思ったんだよ。全部。」

君の温もりを感じたくて、起こした身体をまたベッドに沈める。そして目を合わせながら、手を握る。

「でも、いつも通りの朝を迎えたら、電話がかかってきたんだ。」

「＿＿＿＿＿Aが、君が亡くなったって、」

思わず声が震えた。仕方ないだろ？昨日までいつも通りだったのに、急に居なくなるんだから、そんな、Aが何処かに行くなんて考えた事も、ねぇよ。

そっと、君が口を開く。

"わたしはどこにもいかないよ"

「………ほんとう、？」

勿論、そう言いながら君は笑顔で頷く。