第10夜 ページ10
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「えぇーっ、めずらしっ！」
そんなうるさい声で、目が覚めた。体に響くし、やめてほしい。
「あ、伊野ちゃん起きた？」
おれの隣、ベッドの上で大ちゃんがこちらを見る。スマホをいじってたみたいだ。
「…おはよぉ。朝から元気だね…」
眠い目をこすって起き上がった。体が痛くて、壁によりかかる。
「ちょ、これ見てよ！ 驚いたんだから！」
「んぁ？ なにこれぇ？」
大ちゃんの肩に頭をのせて、スマホを覗く。これ、ジャンプのグループラインじゃない？
「ここ注目！」
大ちゃんが人差し指で一部分を指差す。
えーと、知念が『今日、涼介ん家行っていい？』って。んで、山田が『あー、今日はごめん』って。
「山田、仕事なだけじゃないの？」
確かに山田が知念の誘いを断るのは珍しい。
「いや、あの知念だよ？ ちゃんと山田のオフを狙っていつも誘ってるのに。しかも、この後見てよ」
人差し指でスクロールされた画面に映ったのは、山田の一言で。
「『呼びたい人がいるから』だって！ まさか彼女か！って思わない？」
「んん…、ちょっと思う」
「でしょでしょ！ いや、山田さんもついに彼女ですかー！」
ニヤニヤが隠しきれてないよ、大ちゃん。
そう冷たい目で見つめるおれをどう思ったのか知らないけど、大丈夫だよ、と大ちゃんは言った。
「は？ なにが？」
「山田に彼女ができて伊野ちゃんが捨てられても、俺が拾ってあげるからね」
「んー、おれも彼女欲しいからいいや」
「うっわ！ 裏切った！」
ひどいひどい、と騒ぐ大ちゃんを横目に思う。
おれと山田、ただのメンバーになるのかな
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作者名：鎖空
| 作成日時：2017年3月21日 13時
