其の参 ページ10
「ここ開けてみてもいい？」
「ああ」
ここに布団を収納するのかな？そういえば布団はどこに行けば貸してもらえるのかな？
「立花先輩！潮江先輩！」
「おお、滝夜叉丸！と…喜八郎か？」
「ご名答〜」
とても顔の整った男の子が敷布団を運んできてくれたみたいだ。掛け布団は、もう一人の子が頭から被ってお化けみたいになっている。
「布団くらい普通に運べんのかお前は！？」
「穴掘りした後なんで手が汚れてて、頭の方が汚れがマシだったもので〜」
ええ〜。マシって。
土汚れついていませんように…。
「それなら手を洗ってから運ばんか、バカタレ！」
文次郎君が布団を剥ぎ取ると、飄々とした男の子が顔を出した。ぱちりと目が合い、二人に布団のお礼を言おうかと思っていると口を開くより前に私の目の前に進み出た。
「四年い組、綾部喜八郎でぇーす。この度は僕の穴からようこそ〜」
「僕の穴…って、あれは君が掘った穴だったの？」
「はい。トシちゃん四号です」
「ほ、ほう…？」
「喜八郎、お前は明日から暫く穴掘りを止めろ」
「ええっ、何でですか！？」
「またお前の穴から未来人が現れるかもしれないだろ！」
「そぉんなまさか〜。そんな
もしそうなったら、私は仲間が増えて心強かったりするけどな、とひっそりと思う。
「Aさん、私は同じく四年い組、平滝夜叉丸と申します。教科も実技も成績は学年トップ、戦輪を扱わせたら学園随一！更にはこの美貌でグダグダグダグダ…」
「こうなると長いから気にしないで下さい」
喜八郎君がそう言っても気付かない様子で自分語りを止めない滝夜叉丸君。いい神経していると思う！いい意味で！
「お二人とも、わざわざ布団を運んでくれてありがとう」
「いえいえー。行くよ滝夜叉丸」
「んなっ！？まだ話が終わってないぞ！？」
「はいはいまた今度ね」
喜八郎君が置いていかないあたり、二人は仲良しなんだなぁ。
「さ、次は厠と食堂の案内だな」
部屋から最寄りの厠は思ったより遠かった。夜中行きたくなったら明かり無しで辿り着けるか心配だなぁ…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年7月31日 17時
