其の弍 ページ7
タイムトリップをしてそこのお偉いさんに謁見というファンタジーな展開から一転、現実へ引き戻される。
そうだ。私は宿なし・職なし・金なしの3
「思いついた!お主を忍術学園に置く!!」
「えええっ!?」
ありがたい話ではあるけれど…。
「…しかし学園長、くのたま長屋と教職員長屋は空きがありません」
急な話に教員が苦言を呈する。
「それならば忍たま長屋で良いじゃろ」
「年頃の女子ですよ!?第一、忍者の三禁が…」
それを聞いた途端、学園長先生の目がカッと開かれた。
三禁って何だろう?
「たわけ!忍者の三禁はそもそも禁止すべきものではないわい!!それを嗜みつつ、忍務の際は切り替えて行動できる者こそ真の忍者と言えるのである!!!
そうでなければ儂らは子孫を遺すことも相ならぬ!!のう山田先生!?」
「おっしゃる通りです」
「た、確かにかつて伝説とも謳われた学園長先生も、火縄銃の名手である山田先生も、ご結婚されている…」
「しかもご子息の利吉さんも凄腕の忍者だ」
「そうか、三禁ってそういう意味だったんだ!」
反論できる者は居なくなったようで私は忍者と生活することが決定した。
「小松田君、忍たま長屋の空きは?」
「ええーっと、立花君・潮江君の隣と、竹谷君の隣と、綾部君・平君の隣の三部屋ですね」
「では立花仙蔵、潮江文次郎、お主らはどう考える?」
「我々の隣であれば不穏な動きがあった際に即座に動けますし、逆にこの者の安全を保証する意味でも良いかと」
「同意見です」
「
「私は生物委員会委員長代理で責任感は強い方だと自負しております。六年生は課外実習が多いので、五年長屋が妥当かと…」
「確かにの。では四年は?」
「この平滝夜叉丸、こう見えて世話焼きですのでAさんの良き話し相手になれるかと存じます!」
「虫嫌いなら竹谷先輩の隣はやめた方がいいと思いまーす」
「んなっ、俺は脱走させたりしないぞ!」
「……よし、ではやはり安牌の立花仙蔵と潮江文次郎の隣にしよう!頼むぞ、二人共!」
「はっ、お任せ下さい」
「Aも良いな?」
「大変ありがたいお話なのですが、どうして余所者の私を置いて下さるのか、訳をお伺いしても?」
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年7月31日 17時