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其の参(利吉視点) ページ48

Aさんを見ながら言ったところ返答がないので視線をずらすと、ジト目の伝子さんがいた。


「…あー、伝子さん」


言い直すと、表情を戻して「そうねぇ」と呟く。
あ〜我が父ながら面倒だな〜!!


「Aさんの顔立ちならこれらも似合いますけど、やはり少し幼く見える気が。
次来る時に私の今の手持ちから幾つか見繕って来ましょうか?」


「け、結構です!!」


大きな声で両手を振り、拒否を示す。私に遠慮しているのだろう。別に新調がてら譲っても構わないのだけど。


「とても気に入りましたので、十分です!」


「そうですか?」


「そうそう、この小袖を利吉から貰ったこと、くのたま達に知られちゃダメよ?
それじゃ下がって良いわよ。着方についてはまた教えてあげるわねん」


「??分かりました。利吉さん、伝子さん、素敵な小袖、大切に致します」


Aさんが退室すると、伝子さんは女装を解いた。


「あの、父上。何か企んでいません?」


「企む?何を?」


「私とAさんをどうにかしようとしていませんか?
歳がちょうどいいとか何とかおっしゃって」


「人聞きの悪い。お前の好みの女子だったからわざわざお前を呼んで引き合わせてやったというのに」


確かに、Aさんの外見は私の好みだったけど…って、


「私の好みの話なんて父上にした事ありませんよね!?」


「した事なくてもわかる。お前は私の息子だからな」


「……つまり、父上はAさんをそういう目で見ていると?幻滅しましたよ…」


「阿呆、お前の思っているような事じゃない。ただAがお前の母さんの若い頃に似ているから」


「何だ、そうですか」


「で、どうだ?嫁に」


「どうもこうも、未来人を嫁にもらえる訳ないでしょう!?」


「つまらんのー」


やっぱりどうにかしようとしてるじゃないか!
そもそも母上に似ているから嫁にという考えが自分本位で浅はかだ。私はその手には乗らないぞ。


「それじゃ、私も失礼します。たまには家に帰って下さいよ!?」


「そうだな、次の休みには」


「え?」


「だから、次の休みには帰ると言っているんだ」


「珍しいですね…何かあったんですか?」


「いや…さっきのあの子を見とると無性に母さんに会いたくなった。言うなよ?」


長期休みにほんの少し帰る程度の父上を動かすとは、それほどまでにAさんは母上の若かりし頃に似ているのだろうか?
何はともあれAさんには感謝だ。


「…明日は嵐かな」

落とし穴に落ちるの段→←其の弍(利吉視点)



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設定タグ:忍たま , RKRN , 逆ハー   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年7月31日 17時

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