六年生の尋問の段 ページ40
「おばちゃんっ!蛸の唐揚げ下さい!」
「はいよ、お残しは許しまへんで!」
うひょーーーー!
まさか戦国時代で蛸の唐揚げが食べられるなんてっ!
私、蛸に目がないんです!タコ飯にたこ焼きに蛸のお刺身、何でも大好き!
「おばちゃん…ご馳走様…人生最高のご飯でした…!」
「あらぁ、最高だなんて嬉しいわぁ!きっと兵庫水軍の蛸が新鮮だったのねぇ」
「兵庫水軍?」
「ええ。Aちゃんはまだ知らないかしらね?ここで出る魚介類は全て兵庫水軍っていう海賊から仕入れているのよ」
「かっっ海賊!?」
「海賊って言ってもね、あの人達は悪い事しないのよ。忍術学園とは良好な関係を築いていてね、お互いに助け合っているのよ」
「へえ、覚えておきます」
悪い事しないのに賊って呼ぶのか。
とにかく兵庫水軍の蛸最高だったな。
最高の気分で自室前で腰掛ける。
あ、あの雲、蛸みたい…
「ねえAちゃん、ちょっと来てくれる?」
いつの間にか伊作君が近くまで来ていた。彼が気配を消していたのか、私が蛸に思いを馳せていて気付かなかったのかは分からない。
返事をする前に左手首を引っ張るので慌てて立ち上がる。
「伊作君?どこ行くの?」
「医務室にね」
「医務室で何するの?もしかして調合っ!?」
「来てくれたら分かるよ」
(いやあ蛸の唐揚げといい、薬の調合の見学といい、今日はラッキーデーだわ〜)
嬉々としてついていくと、医務室には難しい顔をした六年生が詰めていた。
あっこれ何か嫌なお話ある感じ………?
「昨日ぶりだな。朝は会わなかったが、私達の事を避けていたのか?」
仙蔵の話ぶりは柔らかいけど、すごく棘のある言い方だ。
「や、全然そんな事ないけど…」
「さて。昨日我々が不在だった時に起きた事を話して貰おうか」
やっぱりこれ、曲者呼び寄せるなら厄介払いしようぜって話じゃないのか?
「ええっと…お風呂を借りにくのたまの敷地内へ…」
「その後」
「あ〜……。曲者に出会いました?」
「なぜ疑問形なのだ」
「曲者に出会いました」
六年生の圧に敬語になってしまう。
「そして?」
「五年生の皆と野村先生、松千代先生に助けて頂きました…」
「もっと
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年7月31日 17時