其の弍 ページ25
「き、喜三太、余計な事は言わなくていいからっ!
本当、変な意味じゃないですからねっ!?」
「分かってるよ〜!それに私も浜君みたいな人が友達一号で嬉しいよ!」
心からそう思う。浜君は私のことを疑っていなさそうだし、いい人なのが滲み出ているから。
「あは……ええと食満先輩、こっち大体塗り終わりましたよっ!」
「ん?そうか!一回嵌めてみよう」
木屑をフッと吹いて、また食満と浜君が戸をはめ込んでくれる。左右に引いて滑りを見ると、「うし!」と満足気に笑った。
「A、具合を確かめてくれ」
長次さんは持ち上げ気味で引けと言っていたけれど、そんな事をしなくても普通に軽い力で開閉ができた。
「わあ!!こんなに変わるんだ!?」
「良かった〜!これでAさんでも簡単に開けられますね!」
「戸を交換することにならなくて良かったですね!」
「そうだな!カンナと使い古しの蝋燭で費用もかからなかったしな!」
「本当に、用具委員会の皆さん、ありがとうございます!!」
「なんの〜お安い御用です!」
「こんなに感謝されるなら毎日でもやりたいくらいですね、富松先輩〜」
「本当だな、いつも感謝されねえもんなぁ〜」
そ、そうなんだ…皆こんなに頑張っているのに。
「よし、じゃあ用具倉庫に戻るか!」
「「「「はーい!」」」」
「あっ、あの、食満!ちょっといい?」
「ん?お前達、先に戻っててくれ!」
ちゃんと言わなきゃなぁ、昨日のこと。
「どうした?」
「一言謝りたくて。昨日食堂でひどい事言ってごめんなさい」
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年7月31日 17時