引き戸の修補の段 ページ24
放課後は昨日食満が言っていた通り、戸を調整しに来てくれた。
「「僕たち、用具委員会で〜す！」」
「こっちが福富しんべヱ、んでこっちが山村喜三太、で、こいつが下坂部平太」
「こんにちはAさん！四年ろ組の浜守一郎です！！」
「三年ろ組、富松作兵衛です！」
わ〜！いきなり五人も名前覚えられるかなぁ！？
「皆さんありがとうございます！Aと申します、宜しくお願いします！」
食満と浜君が戸を外して、作兵衛君が水平を見て、一年生三人は敷居の水拭きをしてくれている。
「どうだ作兵衛？」
「少し歪みがありますね」
「そうか。それじゃカンナ取ってくれ」
「はい、食満先輩！」
縁側に腰掛け、慣れた手つきでカンナで削ってゆく姿はまるで大工さんのようだ。
不覚にも職人ぽくてかっこいい、だなんて思ってしまった。
「食満先輩〜！こちら水拭き終わりました！」
「よし、守一郎」
「はい！」
もう使えなさそうな短い蝋燭を幾つか手に、敷居に塗っていく。
「浜君、それは？」
「蝋を塗ると引き戸の滑りが良くなるんですよ！」
「へえ！それ私がやってもいい？私の部屋だし何もしないのは申し訳なくて…」
「それじゃあ、皆でやりましょう！」
食満と作兵衛君以外の皆で一列に並び、肩を寄せ合って敷居に蝋を塗っていく。
「何だか楽しいですねっ」
喜三太君が嬉々として言う。
「そうだなぁ、皆でやると楽しいなぁ！」
「Aさんが四年生の装束着ていると、また転入生が入ったみたいですよね〜」
「あ、そうか、浜守一郎先輩も転入生ですもんね！」
「そうだったんだ？」
「はい！何か転入生仲間が増えたみたいで嬉しいです！」
「私は転入生じゃないけど、よかったら仲良くしてね。
私まだ友達いないから…」
「あ、じゃあ俺がAさんの友達一号ってことですね！？光栄です！！」
手を差し出してみると、はにかんだ笑顔でがっしりと握手をしてくれた。
「あれぇ〜？何だか浜先輩のお顔が赤いような？」
「エッ！？」
「あっ、本当だ〜！浜先輩が照れていらっしゃる〜！でもどうして？」
「しんべヱ、浜先輩はきっとこんなに忍たまがいる中でAさんのお友達一号になれたことが嬉しいんだよ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年7月31日 17時
