其の弍 ページ12
「お前達は一体何を見たんだ？」
「言ったら承知しませんよ七松」
「だってさ！残念だったな仙蔵、私達だけの秘密だ！」
「いいや、身柄を預かる身として些事であっても知っておかねばならん」
「暗器がないかの確認のために木下先生と山田先生に穴の中で身包み剥がされたAが穴から這い上がって来た姿を見た！な、留三郎！」
「そう、だな…」
「えっ留三郎鼻血出てるよ！？」
「あの時後輩君の目を覆った割に凝視したのは何故？」
「いやいや、忍が侵入者を前にして視線を外す方が無理だろう。恥じるなよ、お前の裸体は綺麗だったぞ？」
「ゴッファ！」
「留三郎ーっ！？」
何で思春期男子の前で公開処刑されてる私より食満の方がダメージ食らってんの！？意味分からんもうやだ帰りたい！
「小平太、そんな生々しい話は公衆の面前でするな」
「何だ、仙蔵が聞いてきたんじゃないか。ま、Aも細かいことは気にするな！ナッハハハ」
気にするわ！！ってか断じて細かくないわ！！それに赤面一つしないのはそれはそれで傷つくぞ七松コノヤローが！！
ふと隣を見ると、文次郎君がぎゅっと目を瞑り、顔を真っ赤にして何かに耐えているようだった。
もしかして、七松と食満に対して怒りを覚えてくれたの！？優しい、私の隣室はなんて紳士で優しいのだろう！？
「んな、見てない筈の文次郎まで鼻血を出したぞ！！」
「ちょっと僕、医務室から綿を持ってくるから！」
「ち、違うからな…俺はこの二人とは断じて違う…！」
ハイ前言撤回〜！！
「文次郎君は想像力がとーっても豊かなようで」
「違うと言っているだろう！？俺は怒りの鼻血だ」
何だそれ聞いた事ないぞ、この人は怒ったら鼻血出る体質なんか？
「A、文次郎の事は勘弁してやってくれ。ただ色事への耐性が低いだけなんだ。恐らくこの学園で一番真面目に三禁を守っているんだ」
三禁ってさっきも会合で話に出てたな。三つあるうちの一つは色恋って事か。
「文次郎君は許します。先程の私の無礼と相殺です」
「Aちゃん。お口に合うかしら？」
話の途中で声を掛けられて、振り向くとおばちゃんの殺気を感じた。はよ食べろ、と。
持っているしゃもじが苦無に見える。もしかしておばちゃんってくノ一だったり！？
「ッアーーースミマセンイタダキマス！美味シイ！トッテモ美味シイデス！」
「そ？お残しは許しまへんで♡」
く…何故私だけ…！解せぬ…！！
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年7月31日 17時
