其の肆（八左ヱ門視点） ページ44
「前にAとジュンコが一緒に寝てた木の側にいたよ。Aを探してたのかもな」
「そうなんですか。やっぱりAさんを…」
僅かに眉を下げて俺の首からジュンコを持っていった。妬いてるのかな。その気持ちは何となく分かるけど。
「あ。そう言えばAさんでしたら、町へお出掛けになっているようです」
「町へ？」
真っ先に浮かんだのは【誰と行ったのか】ということ。
お使いのお供なら俺に声を掛けてくれたらよかったのに。委員会活動中だったから気を遣ったんだろうな。
「だいぶ前に出掛けたからもうそろそろ帰って来る頃じゃないかなあ？日没までには戻ると言っていたし」
小松田さんが言う。
日は既に傾き始めている。日没まではあと
「じゃあもう間もなく戻って来ますね」
「でも竹谷先輩、道に迷ってたらどうします？輩に絡まれているとか」
孫兵の言葉を聞いてざわ、と胸騒ぎがした。町へはお使いに行っていて、お供は上級生がついているものと勝手に思っていたが、そのお供が方向音痴の神崎左門や次屋三之助だったら？きり丸とアルバイトに出て売上金目当てに襲われていたらどうする！？
「小松田さん、Aは誰と町へ行きましたか！？」
しかしこの人の返答は俺の予想よりも遥かに悪いものだった。
「今日はお一人で出掛けたよ？」
「はあ！？一人で！？」
思わず小松田さんに詰め寄った。未来人のAが一人で出掛けようとしているのをどうして簡単に通してしまえるのか、その感覚が不思議でならなかった。
「おわ！？ちょっと落ち着いてよ竹谷君！僕も仔細は分からないけれど、学園長先生が今後Aさんが一人で町へ行くことをお許しになったんだよ！」
小松田さんは慌てて懐からAの外出許可証を取り出した。偽装ではなさそうだ。学園長先生から訳を聞く必要がありそうだ。
「……取り乱してすみません。
孫兵、俺は学園長先生にお会いしてくるから、お前はジュンコが見つかったと一年に伝えてくれ」
「分かりました」
まさか、一人で出掛けてるなんて。
この時代の者であっても夕暮れ時に十六の女子の一人歩きは心配になるというのに、危機意識の低いAなら尚更だ。
「すぐ行くからな…！」
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玉虫厨子(プロフ) - 雪見だいふくさん» わ〜ありがとうございます💓今はペースゆっくりですが更新頑張ります！！ (2月4日 16時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく - この作品めっちゃ好きです〜更新大変だと思うけど、頑張ってください！！！！ (2月4日 11時) (レス) id: ebcac87da6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年12月29日 15時
