其の肆（八左ヱ門視点） ページ28
「え…？」
「守一郎は友達一号だろう？田村のこともAを心配してくれるいい奴だってことは本人から聞いてる。
俺は皆とほんの少し関係性が違うだけで、取り上げよう、独り占めしようなんて思っちゃいないから、これからもAと仲良くしてやってくれ」
俺の言葉がそんなに意外だったのか、二人はぽかんとした。
「……今、腑に落ちました。もし私が恋人だったら、他の人と仲良くしているのを見たくなくて嫉妬や束縛をしていたと思います。
私達が出来なかった分まで、幸せになって下さい！」
「私からもお願いします！私はAさんの笑顔が大好きです！是非竹谷先輩のお力でAさんの笑顔を増やして差し上げて下さい！！」
二人が頭を下げた。
改めて、Aがどれだけ周りから愛されていたかを思い知った。そして、二人がAの言ってた通り凄くいい奴らだってことも。
「うん。ありがとう。
そうそう、今まで通り接してくれとは言ったが、さすがに恋人らしい接触は避けてくれよ！？せ、接吻とか！」
「さすがに人としてそれは無いですよ！そんな事したら委員会の先輩に半殺しにされます！」
潮江先輩は怖そうだなあ。地獄の会計委員会なんて呼ばれているし。俺もAと喧嘩でもしたら半殺しにされるかも。気をつけよう。
そこでAがとうとう動いた。俺の両手にAの手が添えられ、耳から剥がされたのだ。
「やっぱり八左ヱ門だったの？」
「ああ、ごめんな」
「三人で何の話してたの？」
「いやあ、ちょっと男同士の話をな！」
「三木のこと泣かせてない？」
「うーん、ちょっと泣かせたかも？」
元はと言えば俺が告白したせいだし。
「誤解ですAさん！！偏に私が未熟故の涙です！！竹谷先輩のせいじゃありませんからね！！ね！？」
「えっ？うん、わかった」
田村はAの肩を前後に揺らしてしっかりと言い含めた。お前、やっぱりいい奴だなぁ。
「三木ヱ門、俺達はそろそろ戻ろうか」
「ああ、そうだな。それじゃあ失礼します」
守一郎が気を利かせて二人きりにしてくれた。いや、もしかしたら居た堪れなかったのかもしれないが。
(ありがとう。ごめんな)
昨日までは、Aと恋仲になれるとは思ってもみなかった。そう望んではいたのだが、あまりに強敵が多くて望みは薄いかな、と感じていた。
惜しくも恋人になれなかった人の思いも背負って、俺は何を失ったって、Aを幸せにすると決意を固めた。
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玉虫厨子(プロフ) - 雪見だいふくさん» わ〜ありがとうございます💓今はペースゆっくりですが更新頑張ります！！ (2月4日 16時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく - この作品めっちゃ好きです〜更新大変だと思うけど、頑張ってください！！！！ (2月4日 11時) (レス) id: ebcac87da6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年12月29日 15時
