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◆
「Aさあああああんっ!!」
「虎若君っ!」
私の緊張を溶かすように虎若君がとても元気に駆け寄って来てくれる。この安心感たるや。
「お久しぶりですね!到着が遅いので心配しておりましたがまさか照星さんと相乗りでお越しになるとは!!」
「Aさん」
虎若君との話の途中で清八さんが下から両手を広げた。降ろしてくれるという合図のようだが、やはり何か気難しい顔をしているように見える。
「あ…照星さん、乗せて頂きありがとうございました」
振り返って会釈をしてから、私も清八さんに向けて手を伸ばした。半ば抱きかかえられるように降ろしてもらい、清八さんにお礼を言ってから虎若君に向き直った。
「実はさっき山賊に襲われてね、照星さんに助けて頂いたの」
「へーっ!使用したのはどの馬上筒 ですか!?」
「若太夫…まず襲われたことを心配してやりなさい…」
「ああっそうですね!大丈夫でしたか!?」
「うん、おかげさまで私も清八さんも怪我は無かったよ」
「それは良かったです、さすが照星さんっ!」
話に聞いていた通り、虎若君は照星さんを敬愛してやまないようだ。
其の弍 ページ17
「その馬にはもう乗れぬ。私の前に乗りなさい」
私達を救ってくれた照星さんが、馬上から私に手を伸ばす。
「いえ!あそこに見えている村ですよね?歩けます!」
「……………。」
照星さんは無言且つ無表情で手を差し伸べ続けているので、これはもう乗るしかない。
「…お言葉に甘えさせて頂きます…!!」
手を取ると、凄い力で引っ張られて馬の背まで引き上げられた。
「わわっ!」
「よし、行くぞ」
虎若君のお父上を先頭に、人間の歩みの速さで田舎道を進む。田圃の水は美しい夕焼け色に染まった。
隣では清八さんがコレステロールの手綱を引いて歩いているが、心なしか厳しい表情をしているように思えた。
誰も一言も話さない。照星さんも。
照星さんって、確か三木や虎若君が敬愛する人だったような…。そう言っていた気がする。確かに半分林に入り込んだ山賊を捉えたその腕前は素晴らしいと思う。ただ何を思って私を前に乗せたのだろう?考えが分からなくて少し緊張してしまう。
「Aさあああああんっ!!」
「虎若君っ!」
私の緊張を溶かすように虎若君がとても元気に駆け寄って来てくれる。この安心感たるや。
「お久しぶりですね!到着が遅いので心配しておりましたがまさか照星さんと相乗りでお越しになるとは!!」
「Aさん」
虎若君との話の途中で清八さんが下から両手を広げた。降ろしてくれるという合図のようだが、やはり何か気難しい顔をしているように見える。
「あ…照星さん、乗せて頂きありがとうございました」
振り返って会釈をしてから、私も清八さんに向けて手を伸ばした。半ば抱きかかえられるように降ろしてもらい、清八さんにお礼を言ってから虎若君に向き直った。
「実はさっき山賊に襲われてね、照星さんに助けて頂いたの」
「へーっ!使用したのはどの
「若太夫…まず襲われたことを心配してやりなさい…」
「ああっそうですね!大丈夫でしたか!?」
「うん、おかげさまで私も清八さんも怪我は無かったよ」
「それは良かったです、さすが照星さんっ!」
話に聞いていた通り、虎若君は照星さんを敬愛してやまないようだ。
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年10月11日 16時