其の弍 ページ39
「身体を見てしまった件はお互い気にしないって事で良くないですか？事故な訳ですし。別に責任がどうとか考えるのやめましょうよ。ね？」
「……分かりました。責任について考えるのはやめます」
考え直してくれたようで良かったー！
こんなに優しくて男前なのに変な責任感に縛られてちゃ気の毒だもんね！
「A、風呂には入ったようだな！」
背後から声を掛けてきたのは第三協栄丸さんだ。
「はい、お気遣い頂きありがとうございます」
「構わんさ！それより朝餉が出来たみたいだから水軍館へ戻って食べよう」
「ああっ！何のお手伝いもせずすみません！」
「良いんだって！俺が風呂に入れと言ったからな！その代わり、飯を食ったら洗濯を頼めるか？かなり重労働なんだが…」
「はい！洗うのは得意なんです！」
「それは頼もしいなぁ！」
私達が水軍館へ向かって歩き出したのに、舳丸さんだけはその場で松の防風林の方をじっと見ている。
「舳丸さんも行きましょうよ」
「舳丸、どうした？」
「あちらが少し気になります。様子を見て来ます」
何が気になるのかは私には分からなかったが、防風林を凝視する舳丸さんの目が僅かに細められたのは分かった。
「そうか、気をつけろよ！」
「はい」
第三協栄丸さんは水軍館へ、舳丸さんは防風林の方へ歩みを進める。私は第三協栄丸さんの背を追いかけながら、舳丸さんを目で追った。
それに気付いた第三協栄丸さんが言う。
「兵庫水軍の船やノウハウを奪おうとする輩が偵察に来ているのかもな」
「そうなのですか！？舳丸さんお一人で大丈夫ですか？」
「アイツも引き際は分かってる。危険な深追いはしないさ」
舳丸さん、第三協栄丸さんにすごく信頼されているんだな。
もう一度防風林の方を見ると、もう舳丸さんの姿はなかった。
「さあ、飯だ飯！」
粟入りご飯、魚のあらの味噌汁、そしてチヌの刺身が並べられた。
「んん？朝から刺身か？チヌは焼かなかったのか」
「はい。舳丸の兄貴が『チヌは刺身で』って言ってたんで」
「湯引きでもなく？」
「はい。刺身でって言ってました」
「珍しいこともあるもんだなあ。あいつ相当刺身が食べたかったんだなぁ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉虫厨子(プロフ) - 炭酸さん» わ〜〜！めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます！！私もタカ丸さん出てくる場面は筆が走ります！まだ先の話になりますがいつかはタカ丸ルートも書きたいので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。 (9月21日 8時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ああああああ面白すぎて一気に読んでました！！最高すぎます、神はここにいた、、、特にタカ丸君が出てきてくれる作品を今だに出会えてなくて、それがやっと出会えて！！しかも神作で！！！本当ありがとうございます！！大好きです！！ (9月15日 2時) (レス) @page30 id: 5dbdfb3851 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - れなさん» て、天才…！？恐縮です…！お気に召したようで私も嬉しいです。完結まで宜しくお願い致します！ (9月9日 2時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 文才天才すぎます、、めちゃくちゃ好きです、ときめきも笑いも盛りだくさんでとっても好きです、、これからも更新楽しみにしてます！完結までぜひついて行かせてください。 (9月8日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - コメ返ありがとうございます！鹿之助さんや清八さんなど他ではなかなか拝む事が出来ないキャラを出して下さるのもすごく感激です！キャラが出るたびワクワクして読ませて頂いてます！どうか玉虫様のご無理のないペースでお待ちしてます、これからも応援しています！ (9月7日 23時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年9月4日 4時
