ヌレオナゴが出没！？の段 ページ31
見慣れない天井が目に入った。
ここは義丸さんの部屋だ。だけど私には昨夜布団を敷いた覚えもなければ、寝た覚えもない。
確か、陸酔いしていた人達に海水を汲んだと思うんだけど、そこからどうしたっけな…。
身体を起こし、手櫛で髪を整えようとしてある違和感に気付く。
右手の指に何かが絡まっているのだ。
「ヒイイイイイイ何これぇえーっ！？！？」
絡まっていたのは、自分のものとは違う、色素の薄い人毛。しかも一本二本ではない。そこそこ大量なのだ。
「どうしたっ！？」
すぐに義丸さんが隣の鬼蜘蛛丸さんの部屋から飛んで来た。
「義丸さん何これ何これ何これ何これえ！？」
義丸さんの袖に何度も擦り付けて謎人毛を手から外す。怖くて直接触りたくなかったから。すいません。
「おっ、朝から積極的だねえ！引き出しの絵は見たかい？」
「そんな事今は超絶どうでもいい案件なんですよおおお！これ何ですか！？！？」
「んん？…髪の毛だな。Aちゃんのではなさそうだし、俺のでもない」
「さっき起きたら指に絡まってたんです！こんなにも！！」
そう言うと、義丸さんの目が細められた。
「Aさん、失礼します！どうしましたか？」
鬼蜘蛛丸さんも駆けつける。
「起きたら指に他人の毛が絡まってたそうで。どう思います？」
「毛？うーん… ん？これはなんだ…！？」
血が数滴、床に染みをつくっている。
「血……！？」
「海沿い、夜、大量の髪、血痕…。これはもしやヌレオナゴか…？」
「な、何です？そのヌレオナゴって…！？」
聞きたいけど聞きたくない〜！！
「夜に現れて、人の生き血を吸う海の妖怪ですよ。その女子は大層綺麗な髪をしているんだそうです」
「という事は、ヌレオナゴがAちゃんの寝込みを襲ったところ、無意識下で自慢の髪を掴んで抵抗されたので逃げ出した、てな感じでしょうか」
「あり得る。だが見たところ、この髪は酷く傷んでいて、とても綺麗とは言えないな…」
「まあ、伝承ですから多少違いはあるのでは？ずっと海にいたら髪も傷みますよ」
何で妖怪の話をこんな淡々とできるんだろう！？
海の男は勇敢だって誰かが言ってたけど、本当みたい。
「しかし、私は別にどこも出血はありませんけど…」
「抵抗した時にヌレオナゴが怪我をしたとか…」
ヒエェ！私って妖怪に怪我させちゃうくらい寝相悪いの！？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉虫厨子(プロフ) - 炭酸さん» わ〜〜！めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます！！私もタカ丸さん出てくる場面は筆が走ります！まだ先の話になりますがいつかはタカ丸ルートも書きたいので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。 (9月21日 8時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ああああああ面白すぎて一気に読んでました！！最高すぎます、神はここにいた、、、特にタカ丸君が出てきてくれる作品を今だに出会えてなくて、それがやっと出会えて！！しかも神作で！！！本当ありがとうございます！！大好きです！！ (9月15日 2時) (レス) @page30 id: 5dbdfb3851 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - れなさん» て、天才…！？恐縮です…！お気に召したようで私も嬉しいです。完結まで宜しくお願い致します！ (9月9日 2時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 文才天才すぎます、、めちゃくちゃ好きです、ときめきも笑いも盛りだくさんでとっても好きです、、これからも更新楽しみにしてます！完結までぜひついて行かせてください。 (9月8日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - コメ返ありがとうございます！鹿之助さんや清八さんなど他ではなかなか拝む事が出来ないキャラを出して下さるのもすごく感激です！キャラが出るたびワクワクして読ませて頂いてます！どうか玉虫様のご無理のないペースでお待ちしてます、これからも応援しています！ (9月7日 23時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年9月4日 4時
