其の弐(義丸視点) ページ25
今日の主役であるAちゃんは、疾風の兄貴と蜉蝣の兄貴に挟まれている。
蜉蝣の兄貴が酒に酔ってるのか、はたまた隣にAちゃんがいるからか、珍しく顔を赤くして話している。
「兵庫水軍のことを知ったきっかけも蛸だったんです。
ある日忍術学園の食事で蛸の唐揚げが出て、とても美味しかったので食堂のおばちゃんに伝えると、兵庫水軍に分けてもらった蛸だって言ってました」
「確かに先日、豊漁だったので持って行ってもらいましたね。Aさんは蛸が好きなんですね」
「はい!大好きです!」
「それなら、明日また蛸壺を揚げますから、見学しますか?」
「え!よろしいんですか!?」
「お頭、明日蛸壺の引き揚げをAさんにお見せしてもいいですか?」
「ああ、構わん!いくらでも見てくれ!」
「という事でまた明日……うぷ……失礼、」
「え…蜉蝣さん!?」
「大丈夫です、ただの陸酔いです。Aさんは主役ですからここにいて下さい」
蜉蝣の兄貴は陸酔い体質だから、途中退席することは読めてた。俺は徳利と盃を持ってすかさずその空席へと移動した。
「やっとAちゃんの隣が空いた。どう?食べて飲んでる?」
肩を抱くと、やんわりと押し返される。やっぱりまだ酔ってないなこの子。
「好物の蛸たくさん頂いてます」
「酒は?」
酌をしてやると言わんばかりに徳利を振ると、渋い顔をして一口分減らした。物分かりいいねえ。
「しかし嫌そうに飲むなあ。そんなに俺の酌が気に入らんかあ?」
「いいえ。お酒を飲むのはほぼ初めてで味に慣れないので」
「ん何ィ!?どれ、ちょっと飲んでみろ」
疾風の兄貴が話に入ってきて、もう一度飲むよう言われると、Aちゃんはちびちびと酒を口に含んだ。
「うーん…ヨシ、こいつァ飲めねえ体質だ」
「飲めない、ですか?」
「体質的に合わねえから口が酒を拒否するのさ。いいか、無理に飲ますなよ!」
「……は、疾風さん…!!分かって頂きありがとうございます…!!さすが船中の四功は人の機微にまで鋭いですねぇ!!」
「お!?おう……まあなァ、へへ」
「なァんだ、飲ませられないなら面白くないなあ。それなら酌して貰おうかな」
「面白がらないで下さい!」
と言いながらもきちんと酌をしてくれる。うん。やっぱり美人の酌ってのはいいねえ。
しかも自分の懐が寂しくならない宴会だ。最高だねェ。
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玉虫厨子(プロフ) - 炭酸さん» わ〜〜!めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます!!私もタカ丸さん出てくる場面は筆が走ります!まだ先の話になりますがいつかはタカ丸ルートも書きたいので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。 (9月21日 8時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ああああああ面白すぎて一気に読んでました!!最高すぎます、神はここにいた、、、特にタカ丸君が出てきてくれる作品を今だに出会えてなくて、それがやっと出会えて!!しかも神作で!!!本当ありがとうございます!!大好きです!! (9月15日 2時) (レス) @page30 id: 5dbdfb3851 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - れなさん» て、天才…!?恐縮です…!お気に召したようで私も嬉しいです。完結まで宜しくお願い致します! (9月9日 2時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 文才天才すぎます、、めちゃくちゃ好きです、ときめきも笑いも盛りだくさんでとっても好きです、、これからも更新楽しみにしてます!完結までぜひついて行かせてください。 (9月8日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - コメ返ありがとうございます!鹿之助さんや清八さんなど他ではなかなか拝む事が出来ないキャラを出して下さるのもすごく感激です!キャラが出るたびワクワクして読ませて頂いてます!どうか玉虫様のご無理のないペースでお待ちしてます、これからも応援しています! (9月7日 23時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年9月4日 4時