歓迎の宴の段 ページ24
何と、兵庫水軍の皆さんは私のために宴の準備をして下さった。目の前には海の幸、山の幸をふんだんに使ったご馳走が並ぶ。
「皆、盃は持ったかァ!?」
第三協栄丸さんが立ち上がり、腰に手を当てて訊ねる。
もちろん私の元にも盃が用意された。中身は酒だ。空気的に遠慮は出来ないので、ちびちびっと口に含むくらいにしておこう。
「えー、それでは、Aとの出会いを祝して!」
「「「「「「「乾杯〜〜〜!!!」」」」」」」
くう〜〜〜〜!失礼だけどとってもまずい!
右には
「好きなモン好きなだけ食えよ、お前の為の宴会だ」
とは言いつつ、皆さんただ宴会がやりたかったという様子だけどね。
「ありがとうございます、疾風さん」
「取ってやるよ。何が食いたい?」
「蛸の刺身が食べたいですっ!!!」
即答である。半生の茹で蛸の刺身は乾杯前からずっと狙っていたのだ。『これ絶対美味いやつ〜♪』のCMソングが頭で流れてた。
「蛸かァ。さてはお前、酒飲みだな!?」
疾風さんはニヤ、と笑った。
「エッ!?全然そんな事ないです!!」
「おら、これ食ってどんどん飲めよ」
「はは…ありがとうございます」
疾風さん、これでもかと蛸の刺身をたくさん皿に乗せてくださった。
うんっっっっま……
今が旬なんだよね、ほんと夏の室町に飛ばされて良かった。
しばらく無言で蛸を堪能していると、ふと隣から視線を感じた。蜉蝣さんが箸を置いてじっとこちらを見ている。
「な、何でしょう…?」
「いや。蛸をこんなに美味しそうに食べて貰えて、捕ってきた甲斐があったなぁと思いまして」
えっと、ちょっと待って下さいね?
蜉蝣さんって強面なのに、声がめちゃ優しい…。そして私に敬語って!若おじさま素敵過ぎる…
「蜉蝣さんが捕った蛸なんですか?」
「ええ。沈めていた蛸壺を回収してきただけですけどね。美味しいですか?」
「最高です…!滑らかな舌触り、噛めば噛むほどに溢れ出す旨味、咀嚼後口の中に残る濃厚な味の余韻…。こんな美味しい蛸を食べたのは生まれて初めてです!!」
「ゴホン……そこまで言われると、照れますね…」
蜉蝣さんの頬がほんのりと赤くなった。
照れていらっしゃるの!?可愛いー!!母性がくすぐられるっ!!
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玉虫厨子(プロフ) - 炭酸さん» わ〜〜!めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます!!私もタカ丸さん出てくる場面は筆が走ります!まだ先の話になりますがいつかはタカ丸ルートも書きたいので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。 (9月21日 8時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ああああああ面白すぎて一気に読んでました!!最高すぎます、神はここにいた、、、特にタカ丸君が出てきてくれる作品を今だに出会えてなくて、それがやっと出会えて!!しかも神作で!!!本当ありがとうございます!!大好きです!! (9月15日 2時) (レス) @page30 id: 5dbdfb3851 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - れなさん» て、天才…!?恐縮です…!お気に召したようで私も嬉しいです。完結まで宜しくお願い致します! (9月9日 2時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 文才天才すぎます、、めちゃくちゃ好きです、ときめきも笑いも盛りだくさんでとっても好きです、、これからも更新楽しみにしてます!完結までぜひついて行かせてください。 (9月8日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - コメ返ありがとうございます!鹿之助さんや清八さんなど他ではなかなか拝む事が出来ないキャラを出して下さるのもすごく感激です!キャラが出るたびワクワクして読ませて頂いてます!どうか玉虫様のご無理のないペースでお待ちしてます、これからも応援しています! (9月7日 23時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年9月4日 4時