攫われた褌の段（網問視点） ページ21
今日は忍術学園の居候が来るらしい。兵庫水軍には二週間滞在するとのことで、ささやかな歓迎の宴を催すこととなった。
お頭に町で食材の買い出しを頼まれて、間切の兄貴と行った帰り。
「おうっぷ…」
「ほらほらー、もう海見えてるよー」
兄貴がお約束の陸酔いを発動したので、背中に野菜でいっぱいの背負子を背負い、左腕はしがみついて歩く用に兄貴に貸していた。
「ん…？」
兵庫水軍の浜で見慣れない薄桃色の短い小袖を着た人が、風に攫われた褌を全力で追いかけ…、
「へぶっ！！！」
砂浜に足を取られ、顔から砂に突っ込んだ。
あれは痛いだろうし、恥ずかしいだろうな。でも幸い、俺しか見てなかったみたい。
「大丈夫！？」
駆け寄ると、その子はこちらに顔を向けたのだが。
「ブッ、アハハハハハッ！！」
夏だから顔の湿り気で砂が全体にくっつき、まるで砂の面をしているかのようだった。
顔だけじゃない。首も胸元にも砂がこれでもかと付いている。
「…網問…その子誰…？」
間切の兄貴がヨタヨタと追いついた。
「いやあ、たぶんお頭の言ってた忍術学園の居候だと思うけど──…あ」
その子は懐から無事だった手拭いを取り出すと、顔に付いた砂を叩いて取った。
いやまさか、砂の面の下にこんな綺麗な顔が隠れていたなんて、思いもしなかった。
「──あの、改めて大丈夫？」
「………、大丈夫です」
こちらを一瞥し、眉根を寄せてフイと明後日の方向を向いた。さすがに初対面で大笑いは怒らせた？
「うっぷ」
こんな状態でも回復していない間切の兄貴は陸酔いを我慢していて、口を手で塞ぐ。それを背中をさすってやる。
「兄貴、もう海だよ」
「…船酔いですか？」
その子は、目の前で苦しむ兄貴からは目を背けられなかったようだ。
「いえ…陸酔いです…」
「お、陸酔い！？」
「少しの間、潮風に吹かれて海に浸かれば、治りますから…」
「それじゃあ、もっと近くに！」
俺の支えていた方とは逆の方から支えて波打ち際まで運ぶ。
「プハッ！生き返った！」
潮水で洗顔をした兄貴が復活して、その横では砂の面の子が手拭いを潮水に浸して、その水分で肌に付いた砂を拭い取るというのを繰り返していた。
「ふう…。親切にありがとうございます。あなたは転けてしまったんですか？」
「はい。洗濯物が風に飛ばされてしまって、追いかけていたら砂に足を取られてしまって」
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玉虫厨子(プロフ) - 炭酸さん» わ〜〜！めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます！！私もタカ丸さん出てくる場面は筆が走ります！まだ先の話になりますがいつかはタカ丸ルートも書きたいので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。 (9月21日 8時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ああああああ面白すぎて一気に読んでました！！最高すぎます、神はここにいた、、、特にタカ丸君が出てきてくれる作品を今だに出会えてなくて、それがやっと出会えて！！しかも神作で！！！本当ありがとうございます！！大好きです！！ (9月15日 2時) (レス) @page30 id: 5dbdfb3851 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - れなさん» て、天才…！？恐縮です…！お気に召したようで私も嬉しいです。完結まで宜しくお願い致します！ (9月9日 2時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 文才天才すぎます、、めちゃくちゃ好きです、ときめきも笑いも盛りだくさんでとっても好きです、、これからも更新楽しみにしてます！完結までぜひついて行かせてください。 (9月8日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - コメ返ありがとうございます！鹿之助さんや清八さんなど他ではなかなか拝む事が出来ないキャラを出して下さるのもすごく感激です！キャラが出るたびワクワクして読ませて頂いてます！どうか玉虫様のご無理のないペースでお待ちしてます、これからも応援しています！ (9月7日 23時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2023年9月4日 4時
