【忍たま】君の想いは花筏【共通話６】

いざ、兵庫水軍！の段 ページ14

「お頭、どうしたんです？」


大きな声を出したので、海賊さん数人が手を止めてやって来た。


「忍術学園の居候をしばらく預かるってお前達にも話をしたろ？俺、てっきり男が来るもんだとばかり思って、寝床もうちの若い衆が寝る広間で雑魚寝でいいかと考えてて……」


そこで総大将の第三協栄丸さんと海賊さんの視線がこちらへ向けられた。


「えっ、それじゃあ、この子が？」


「うん…そうみたいなんだ…さてどうしたものか…？」


第三協栄丸さんの思案顔に居た堪れなくなった。
私、こういう状況ですぐに心折れるタイプです。


「あの……ご迷惑でしたら帰ります」


「えっ、しかし学園長先生からの文では、知り合いがいないって…」


「全くつてがない訳じゃないんです。
清八さん、大変ご足労をお掛けするのですが、また元の道を戻って忍術学園の近くの町へ行って頂けませんか？」


「ええ、その辺りなら近江への帰り道ですから構いませんよ」


小松田屋さんには店主の小松田優作さん、事務の小松田秀作さん、試用期間中の鹿之介さんの三人の知人がいらっしゃる。
小松田屋で住み込みで働かせて貰えれば万々歳。それができなくても鹿之助さんは『言ってくれたら住まわせたのに』と言って下さっていたから、きっと泊めて下さる。

私に好意がある人の家に行くということは、つまりはそういうことだ。きっと接吻だけでは済まない。

大丈夫。彼はとても優しいし、好きか嫌いかって言われたら好きだ。寝食を共にしたらきっと早い段階で好意を抱けると思う。

一緒になると言ったら忍たま達は祝ってくれなさそうだけど。


「Aさん、本当にその町には住む所を用意してくれる人がいるんですか？随分思い詰めた顔をしていらっしゃいますけど…」


「あはは、そんな顔していました？以前求婚して下さった方がいるので、その人を頼ればきっと…」


「ま、待ってくれ！こっちは全然迷惑なんかじゃないんだ！ただうちも女子を預かる用意が何も出来ていないってだけで…！
そんな事で嫁ぎ先を決めてはダメだ！予定通り滞在してくれ！な！？お前の事は皆大歓迎だから！！」


焦った様子で私の肩を掴んで必死に説得する様子は、出会って間もない私の心を十分に打った。


「兵庫第三協栄丸さん、私に女子扱いは無用です！掃除洗濯雑用何でもやります！廊下にごろ寝で大丈夫です！
よろしくお願いします！！！」

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