其の弐 ページ2
さぞかし事務室は忙しかろうと手伝いに行くと、宿題配布という大仕事が終わったので仕事はほぼ無いとのこと。
「もしよければ私が主任を務める用具委員会の大掃除を手伝いに行ってもらえませんか?備品が多い上に喜三太君が抜けるので大変なのです」
「分かりました!」
皆が宿題を貰い、それぞれの委員会へと向かう中、私服姿の喜三太君と金吾君に出会した。二人とも、斜め掛けした風呂敷がぷっくりと膨れている。
「あっ、Aさーん!」
「二人共どうしたの?お遣いに行くの?」
「いえいえ!僕達実家が相模なので、他の人より一日早く帰らせて頂くんです!」
相模って神奈川だよね!?
「相模までたった二人で何日も歩くの!?」
「はい、そうです!」
十歳の子二人で京都から神奈川まで歩くなんて、お姉さんめちゃくちゃ心配なんだけど!!私ごときに馬借とか使ってる場合じゃないのでは?
「大丈夫なの…?くれぐれも気を付けてね…!?」
「はい!気を付けます!」
「宿題も早めにね」
宿題の話には喜三太君があからさまに落ち込んだ。
「宿題は個人メニューだったんですけど、僕の宿題がすごく難しくってぇ…できないかもしれないよぉ…」
「そんなに難しい宿題なんだね…」
「でも、やるだけやってみます!」
「うん!応援してるからね!」
「Aさん、また夏休み明けに!お元気で〜!」
「二人も元気でね〜!」
姿が見えなくなるまで見送った後は用具倉庫へと向かう。
既に大掃除が始まっているようで、用具委員会の皆が倉庫の中の備品をせっせと外へ運び出していた。
用具委員長の留三郎は一際重そうな箱を地面に置くと、首に掛けた手拭いで額の汗を拭った。
「留三郎〜!」
「ああ、Aか。どうした?」
「吉野先生に用具委員会を手伝ってと言われて来たの」
「そりゃあ助かる!まず備品の運び出しを手伝ってくれるか?」
「了解!」
「お前は軽いものだけでいいからな」
夏の用具倉庫は暑い。
用具委員会の皆は頭巾を外し、上衣を脱いで黒のインナーだけになって作業しているので、鍛え抜かれた上腕が行き来していた。
私もすぐ暑さに耐えられなくなり、倉庫の外で上衣と頭巾を外すと、倉庫から出て来た浜君と目が合う。すると浜君はギョッとして抱えていた数本の刺股を落としてしまった。
「どうしたの?大丈夫?」
66人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉虫厨子(プロフ) - 炭酸さん» わ〜〜!めちゃくちゃ嬉しいコメントありがとうございます!!私もタカ丸さん出てくる場面は筆が走ります!まだ先の話になりますがいつかはタカ丸ルートも書きたいので、どうか気長にお待ち頂ければと思います。 (9月21日 8時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
炭酸(プロフ) - ああああああ面白すぎて一気に読んでました!!最高すぎます、神はここにいた、、、特にタカ丸君が出てきてくれる作品を今だに出会えてなくて、それがやっと出会えて!!しかも神作で!!!本当ありがとうございます!!大好きです!! (9月15日 2時) (レス) @page30 id: 5dbdfb3851 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - れなさん» て、天才…!?恐縮です…!お気に召したようで私も嬉しいです。完結まで宜しくお願い致します! (9月9日 2時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 文才天才すぎます、、めちゃくちゃ好きです、ときめきも笑いも盛りだくさんでとっても好きです、、これからも更新楽しみにしてます!完結までぜひついて行かせてください。 (9月8日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - コメ返ありがとうございます!鹿之助さんや清八さんなど他ではなかなか拝む事が出来ないキャラを出して下さるのもすごく感激です!キャラが出るたびワクワクして読ませて頂いてます!どうか玉虫様のご無理のないペースでお待ちしてます、これからも応援しています! (9月7日 23時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年9月4日 4時