勘ちゃんと町への段 ページ9
「あーびっくりした…」
部屋を飛び出したついでに顔を洗いに来た。
目覚めてすぐ吐息がかかるくらいの距離に整った顔面×2があったら誰でも驚くよね?
「やほ!」
「んぎゃあ!!?」
顔を洗って、手拭いを押し当てて、顔から手拭いを退けたら目前に勘ちゃんのどアップである。手品か!
「男前顔面三つ目!!」
「何の話?」
「いや、何でもない……」
「ね、A今日暇?町に行かない?」
「え!行きたい!」
「やった!それじゃあどれくらいで出られる?Aに合わせるよ」
「半刻くらいで出られると思うよ」
「了解!じゃあ多少前後して構わないから用意できたら俺の部屋に来てくれる?」
「ん、分かった!後でね〜!」
いくら忍術学園が広くていろんな人がいると言っても、ずっと学園内にいるとさすがに持て余す日も出てくる。皆も課題や委員会に忙しくて私に構ってる暇も無さそうだし。
だからこうやって外出に誘われるとすごく嬉しい。タカ丸君、今日も私の髪結いしてくれるかな?
◆
「へえ、町に?」
「そうなの。小袖用の髪結いお願い出来たりするかな?」
「勿論!お安い御用だよ」
時々事務仕事をお手伝いするだけで三食昼寝付き、寮完備、果ては美容室通い放題なんて最高の福利厚生だよね!(違う)
「ところで町には誰と何の用事で行くの?」
「勘ちゃんと。用向きは聞かなかったなぁ」
「尾浜勘右衛門?他には?」
「誰と行くかも聞かなかったや」
すると、タカ丸君は手を動かすのをやめてしまう。
「ど、どしたの?」
「僕は今、他の男と一緒に歩かせるのにAちゃんの髪をとびきり可愛くするのか、そこそこにしておくか、究極の選択を強いられている……!
髪結師としての矜持を取るか、斉藤タカ丸自身の気持ちを優先するか……!」
「えっと、そこそこで大丈夫ですよ…」
「ああっ!手が勝手にとびきり可愛い髪形にしようと動いてしまうっ!チョキチョキチョキチョキ〜〜!」
苦しそうなタカ丸君を見て私まで心苦しくなったが、髪はやはり最高の仕上がりだった。
「はぁ。尾浜くんの恋を応援しちゃった〜…」
「そんなんじゃないと思うよ」
「町でいい雰囲気になっちゃ駄目だよ?今日の護衛当番は尾浜くんだし、襲われちゃう!Aちゃんの事だから雰囲気に流されて最後までしちゃいそうだし!」
「いや私の貞操観念の評価の低さよ!!」
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玉虫厨子(プロフ) - 澄香さん» コメントありがとうございます!需要あってよかったです!! (5月8日 6時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
澄香 - いけいけどんどん!!!出茂鹿之介の需要ありまくりです!!!! (5月8日 1時) (レス) @page50 id: b225fd04a2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あもさん» ありがとうございます💓 (12月18日 9時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - ヤバい/// 出茂鹿・・・好きッ♡♡♡♡♡♡♡♡ (12月18日 8時) (レス) @page48 id: 769dab171c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます! (9月4日 4時) (レス) @page50 id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年8月21日 7時