【忍たま】君の想いは花筏【共通話５】 (ページ7)

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其の陸（伊作視点）ページ7

「オーマガトキとタソガレドキの戦が開戦したらしいんだ。もしAちゃんを攫おうとした曲者が利吉さんの推測通りタソガレドキの者だったら、Aちゃんは複雑だろうけど……」

「そんな事ないよ。戦で戦う人のほとんどは城勤めしていない人達だし。未来でも国境を越えて無償で戦地に赴く素晴らしい医者がいるの。伊作君は先駆者だよね！」

「Aちゃん……！」

素晴らしい医者かあ。褒められる為にしている事ではないけど、やっぱりそう言われるのは嬉しいな。

「流れ矢とか気をつけてね、不運大魔王だから」

「うん！ばっちり注意するよ！」

と言った矢先、不注意で煎じていた小鍋を倒し、中身を布団にぶちまけてしまった。

「うわぁ！……やっちゃった」

「お前それで布団濡らすの何回目だよ…学習しろよな」

「すまない留三郎」

「全く、しょうがねえな。ほら、Aもっとこっち詰めろ」

留三郎が布団の端に寄り、Aちゃんを手招きする。

「いやいや何のご冗談？？？」

「年に一回くらいあるんだよ、伊作が布団濡らして俺の布団半分こするのが。今回は敷布団二つに三人だから広いな」

「いや広くないわ！！右肩留三郎、左肩伊作君とぶつかってるわ！！こういう状態なんて呼ぶか三木に教わったんだからね！！これは同衾だよ同衾！！」

「っこら！デカい声で言うな！小平太とか文次郎がすっ飛んできたらややこしいだろうが！」

「じゃあせめて留三郎か伊作君が真ん中で寝てよ！私は端で掛け布団を敷いて寝るから」

「「……………」」

うーん、それはねえ？やっぱり起きた時に同室の顔が真ん前にあったら留三郎は嫌だろうし。僕も今回くらいAちゃんの顔を見て目覚めたいし？
ちょっと哀車の術かけちゃってもいいかな？

「ごめんAちゃん、やっぱり迷惑だよね……狭いのは僕のせいだし、文次郎を見習って木の上で寝てくるよ……」

上半身を起こすと、Aちゃんが右上腕を掴んで引っ張るので、また褥に押し戻される。

「……もう！さっさと寝よ！」

ありがとうごめんね！！
怒ったフリして照れてる。身体を寄せ合って寝るのが恥ずかしいのかな？Aちゃんの初めて見る側面だなぁ。可愛い。

「お休み、伊作、A」

「お休み、二人共」

「お休みなさい」