【忍たま】君の想いは花筏【共通話５】 (ページ6)

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其の伍（伊作視点）ページ6

富松への見舞いを終えた留三郎達が帰って来た。

「「くっさ」」

「うん…ごめんよ」

留三郎が戸を閉めると、その僅かな振動のせいか、バラバラ！と物が床に落ちた音がする。

「伊作君、何か落ち………ギャアアアア！！！」

その何か(・・)を見た瞬間、Aちゃんは悲鳴を上げて留三郎にしがみついた。
骨格標本のコーちゃんの大腿骨から下が床に散らばっていた。

「吊っていた糸が切れたのかな？足先の細かい骨までバラバラになっちゃって…不運だなぁ、これは修復に骨が折れそうだ」

「伊作、上手いこと言ってる場合じゃない。Aが興奮した猿みたいになってる」

「Aちゃん、これは木でできた偽物だから大丈夫だよ」

「材質の問題じゃない！もう見た目がアウトだから！こんなのがあるなら先にそう言っておいてよぉぉ！！こういうの耐性ある方だけど薄暗い場所でいきなり見つけたらびっくりするでしょー！！」

「本当にごめんよ。怖くないように布を被せておくから」

コーちゃんに僕の忍装束を掛けてから、Aちゃんの頭を撫でて留三郎から引き剥がす。

「もーほんと寿命縮んだ！真剣にちびったかと思った！六年は組しんどすぎ！！」

「そこに俺を含めるなよ！」

こんな賑やかな夜っていつ振りだろう？下級生の頃は騒いだ事もあったけど、六年生は皆元服して大人になったし、一緒の部屋で騒いだら仙蔵や文次郎辺りが静かにしろとか言ってくるんだろうな。

留三郎が三つ布団を敷くと、鮨詰め状態となった。布団と布団の間に隙間などない。むしろAちゃんの敷布団の上に僕達の敷布団の端が乗り上げている。
寝転がったAちゃんは少し不満気な様子。

「利吉さんやろ組と寝た時は隙間一尺空けてくれたし、い組に至っては端っこに寝かせてくれたよ…」

「伊作が火を焚いていて、あまり布団を近付けると危ないからな」

「そうだね、そもそも私の為に一緒に寝てくれてるのに文句言うなんてダメだね……踵落とし入ったら許してね」

そういえば皆Aちゃんの寝相は悪いって言ってたな。文次郎に関しては顔を真っ赤にして思い出したくもないって言ってた。顔赤らめる必要ある？

「伊作君、その煎じ薬、明日使うって言ってたけど作兵衛の？」

「違うよ。明日は休みだし戦場に行こうと思っていて」

「戦！？」

「伊作は近くで戦が始まると、暇を見つけては敵味方関係なく救護に行くんだ」