其の弍(仙蔵視点) ページ40
まるで叱責を受けているかの如く、肩を窄めて小さくなるAに全視線が注がれる。
「では、お主が救ってくれたのか」
「と言っても、牽制すると立ち去ってゆきましたが」
「そうか。まずは礼を言う。Aの危機を救ってくれた事、感謝する」
デモシカさんはほんの少し頭を下げて、その謝辞を受け入れた。
「奴は忍術学園への侵入中に、Aさんが未来人であることを知ったようです。入念に策を重ね、五車の術でAさんに取り入り、自らついて来るよう仕向けたものと」
「スッポンタケが動いているという事は、仲の良いサンコタケもこれに気付いている可能性があるな…。
報告ご苦労じゃった。今日はもう遅い、食堂で夕餉を食べて泊まっていきなさい。
A、お主の部屋に泊まらせても良いな?」
「えっ!……あ、はい」
一瞬、Aに求婚済みのデモシカさんと二人きりにするなど学園長先生は何を考えとるんだと憤慨しそうになったが、今Aは忍たま長屋を転々としていることを思い出した。
「し、しかし……Aさんの気持ちは……」
「私は全然気にしませんので、お好きにして頂いたら…」
「……それでは、お言葉に甘えさせて頂きます」
「ブッフ」
盛大な勘違いをしているであろうデモシカさんに、喜八郎が堪えきれずに噴き出してしまい、そっと肘で突く。
「ここが私がお借りしてる部屋です」
「うん、ありがとう。これから一緒に食堂に行かないか?」
「はい、勿論です」
隣室なのでそういう会話が聞こえて来る。食堂はまだ人が多い時間帯であるし、これは一波乱起きそうだ。
「文次郎、文次郎。食堂に行こう。面白いものが見られるぞ」
「面白いもの?」
「早く行くぞ!」
戸惑う文次郎の腕を掴んで足早に食堂へ向かう。看板が見える頃には中からギャーとかワーとかいう声が聞こえて来た。
「いかん、もう始まった!」
「何だ何だ!?食堂は阿鼻叫喚地獄か!?」
文次郎が私よりも気になって走って駆けつける。
デモシカさんがAに求婚したのは周知の事実。そして就職したら迎えに来るという文言あも多くの者が知っている。今日の用向きを知らないから、Aを迎えに来たと勘違いして下級生達が騒ぐだろうなと予測できた。
「……そうか、嫁に行ってしまうんだな。見てみろ、いつもすっぴんなのに今日はめかし込んでる。やっぱりアイツも年頃の女だったんだなぁ」
70人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉虫厨子(プロフ) - 澄香さん» コメントありがとうございます!需要あってよかったです!! (5月8日 6時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
澄香 - いけいけどんどん!!!出茂鹿之介の需要ありまくりです!!!! (5月8日 1時) (レス) @page50 id: b225fd04a2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あもさん» ありがとうございます💓 (12月18日 9時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - ヤバい/// 出茂鹿・・・好きッ♡♡♡♡♡♡♡♡ (12月18日 8時) (レス) @page48 id: 769dab171c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます! (9月4日 4時) (レス) @page50 id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年8月21日 7時