其の肆 ページ38
「…実は先日、五年い組の尾浜勘右衛門と町に来て…」
歩きながら四人に先日の団子屋での出来事を話した。
話し終えた時のしんべヱ君の第一声が「そのお団子屋さん、僕もよく行くところです!」で、乱太郎君達にそこじゃないでしょとつっこまれる。
しかし、鹿之助さんは「それも物事を分析する為の一つの大切な情報」と言い切った。
「特定の団子屋の娘を買収したという事は、その団子屋ならばAさんが訪れる可能性が高いと踏んだ訳だ。その理由は忍たまが多く利用していたから。つまり、団子屋を利用する忍たまは今後はスッポンタケに顔が割れていると思って行動した方がいい」
三人から感心の声とまばらな拍手が上がった。
「しかしお伝さんが買収されてたなんて…。迫真の演技で、全然芝居だなんて思えませんでした」
「それじゃあ、尾浜のことを好いているというのは娘の本心だったんじゃないか?話術で人を騙す時、我々忍者は嘘の中に本当のことも織り交ぜて話すんだ。そうすると信憑性が出てくるから。そういう助言を受けていたのかもしれない」
「そうか、それであんな辛そうにしていたんだ…」
「Aさん、その人お金を貰ってAさんを騙そうとしたのに、どうしてそんなに心配するんですか?」
しんべヱ君が訊ねる。私はそんな顔をしていたのだろうか。
「好いた人の前で悪役になるのは辛かっただろうなって。でもきっと、彼女にも事情があってお金の方を取らざるを得なかったんだよ」
「Aさんは優しすぎます!さっきだってわざわざ自分からスッポンタケ忍者を追いかけていっちゃって!
僕が乱太郎に追いかけてって頼まなきゃ今頃スッポンタケ城に押し込められてましたよ!!」
きり丸君がぷりぷり怒る。
「本当におっしゃる通りです。猛省します…」
「まあ、それがなければ策を二重三重に掛けてより確実に連れ去られていただろう。小松田屋の前で問答してくれて運が良かったよ」
慰めるように頭をポン、と撫でられる。
「鹿之助さん…」
「ハァ、デモシカさんってAさんの前では猫かぶってるって誰かが言ってたけど本当だったんだー」
「お前なあ!!」
「そ、そうだ。花売りアルバイトの結果はどうだったの?」
「それがぁ〜、Aさんのお陰で大儲けです〜アヒャアヒャ!今度はもっと襟を抜いて、団蔵くらい丈の短い小袖でお願いしやーす!」
鹿之助さんの拳骨が脳天に入った。痛そう…!
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玉虫厨子(プロフ) - 澄香さん» コメントありがとうございます!需要あってよかったです!! (5月8日 6時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
澄香 - いけいけどんどん!!!出茂鹿之介の需要ありまくりです!!!! (5月8日 1時) (レス) @page50 id: b225fd04a2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あもさん» ありがとうございます💓 (12月18日 9時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - ヤバい/// 出茂鹿・・・好きッ♡♡♡♡♡♡♡♡ (12月18日 8時) (レス) @page48 id: 769dab171c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます! (9月4日 4時) (レス) @page50 id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年8月21日 7時