其の参 ページ37
「怪我はありませんか?」
「はい。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
「とんでもない。迷惑なのは出茂君が相手しているあの男でしょう」
「鹿之助さんとお知り合いなのですか?」
「ええ。少し前からうちで働いてもらっているので。あなたは、出茂君が言っていた想い人なのでしょう?」
「へっ!?」
「見れば分かります。彼、言い寄られているのがあなただと分かった瞬間、血相変えて飛んで行きましたから」
“就職して、心も入れ替えて迎えに来るから、それまで私にあなたを思わせて欲しい“
鹿之助さんの言葉が思い出され、少し鼓動が速くなる。
「……鹿之助さんは、こちらで就職を?」
「今はうちの店が定める試用期間中でして。正式な採用は二月後です」
「そうですか…」
視線を戻すと、お互い手は出さないものの、二人の睨み合いは続いていた。何やら話しているようだが、こちらからは聞こえない。
「そんなに心配しなくとも大丈夫です。大義はこちらにありますし、相手も町中で目立つのを良しとしないでしょう」
店主の言う通り、スッポンタケ忍者はすぐに諦めて去っていった。鹿之助さんが緊張感から解放されたのが見て取れたので、走り寄った。
「鹿之助さん!!大丈夫ですか!?」
「ああ、戦闘にはならなかったから。それより君は?手首を強く掴まれていたようだけど」
「こんなの何ともありません。助けて頂いてありがとうございます」
「……はぁ、良かった。連れ去られなくて…」
鹿之助さんに抱き締められる。すると往来の人達から歓声と拍手が上がった。
格好良かったぞ、とか、幸せにな、なんて声が掛かる。恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
「…あのー、一応ワタシもいるんですけど」
乱太郎君が複雑な顔をして私達を見ていて、慌てて鹿之助さんから離れた。
そこにきり丸君としんべヱ君が荷物を持って走って来る。
「乱太郎!Aさんも無事か!?
って、どうしてデモシカさんがいるんだ!?」
「デモシカさんじゃない、出茂鹿之助だ!」
私達は鹿之助さんに忍術学園まで送って頂けることになった。
三人は文句を言って嫌がったけれど、また忍者が来た時に戦えるのか?と聞かれて閉口し、渋々了承した。
町を出て
「何があったか詳しく教えてくれるか?」
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玉虫厨子(プロフ) - 澄香さん» コメントありがとうございます!需要あってよかったです!! (5月8日 6時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
澄香 - いけいけどんどん!!!出茂鹿之介の需要ありまくりです!!!! (5月8日 1時) (レス) @page50 id: b225fd04a2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あもさん» ありがとうございます💓 (12月18日 9時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - ヤバい/// 出茂鹿・・・好きッ♡♡♡♡♡♡♡♡ (12月18日 8時) (レス) @page48 id: 769dab171c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます! (9月4日 4時) (レス) @page50 id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年8月21日 7時